呉公太執行部は2月22日に開かれる第54回定期中央大会で2期6年の任期を終える。2012年の就任から6年間の主な活動を振り返る。
朝鮮通信使 世界遺産登録に力
◆国政選挙参与
最初に取り組んだのが、在外国民にも付与された国政選挙参与運動だ。12年4月の国会議員選挙と同年12月の第18代大統領選挙には、民団及び傘下団体を含む全組織が「こぞって1票を!」という掛け声のもと、選挙人登録と投票参加に全力を尽くした。12月5日に始まった初の大統領選挙では、在日韓国人をはじめ、在外国民の有権者22万人余りが登録。日本地域は約3万7千人だった。
◆支部巡回活動
全国の支部を直接訪問する巡回活動にも着手した。16年11月までに34地方179支部を回り、延べ2385人の同胞と面談した。これは会館を所有する支部をほとんど訪問したことになる。
巡回を通じて支部の財政不足が活動に支障をきたしていると判断。13年には、支部活性化支援事業を手掛けた。中央本部として初めて実施した同事業は、初年度に全国166支部が申請する成果をもたらし、その後、継続事業として定着した。17年まで延べ694支部に総額4537万円を支援した。
◆朝鮮通信使世界遺産登録
14年には、韓日善隣友好の象徴である朝鮮通信使のユネスコ世界記憶遺産の登録に向けて、日本側のNPO法人朝鮮通信使縁地連絡協議会の一員として加盟し、全国の本部にも協力を呼び掛けた。1支部23本部が趣旨に賛同して加わり地域の国際イベントで朝鮮通信使パレードを再現するなど、異文化理解や多文化共生を訴えた。そのような活動が功を奏し、17年10月31日には登録が実現した。
◆ヘイトスピーチ根絶
14年8月18日から21日、国連人種差別撤廃委員会による対日審査に際して、ジュネーブに人権擁護委員会委員で構成する陳情団を派遣した。人種差別を決して容認しないよう法律を整備して、積極的に日本政府に働きかけるよう撤廃委員会委員らに要望した。
対日審査では、ヘイトスピーチに関連して、「包括的な差別禁止法の制定が必要」とする日本政府への勧告案がまとめられ、「最終見解」が公表された。
同年11月11日、韓国国会図書館で日本のヘイトスピーチと嫌韓出版物展示会が開かれた。日本国内の嫌韓の実態を知り、膠着する韓日関係の打開を模索することを目的に、民団中央本部と最大野党・新政治民主連合の崔載千議員が共催した。 同年12月21日、韓国中央会館で人権擁護委員会の主催で「ヘイトスピーチを根絶させよう!東京シンポジウム」を開催し、約350人が参加した。参加者らは「ヘイトスピーチを許さないために行動しなければならない」との強い決意を新たにした。
16年4月15日、韓国中央会館でヘイトスピーチ禁止法の成立を求め、「NO!ヘイトスピーチ」記者会見を開いた。同年4月27日、民団中央本部は参議院議員会館で緊急院内集会を開催し、全国の地方本部代表と国会議員市民グループなど360余人が参加した。
自民・公明両党が提出していた「ヘイトスピーチ対策法」が同年5月24日、衆議院本会議で可決、成立した。同法は禁止規定や罰則は設けていないが、ヘイト行為を「外国人を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動」と定義、「外国人に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない」との理念を明示した。
民団は被害当事者の立場から、法的規制を日本政府に働きかけるよう直接訴え続け、自らの力で法律制定を勝ち取った。
◆創団70周年記念事業
次世代育成事業の規模を大幅に拡大して、世代別の母国訪問を実施した。小学生(4〜6学年)を対象とした第9回オリニジャンボリーを16年7月27日から31日まで開催したのをはじめ、8月4日から26日まで中・高・大学生を対象とした次世代サマースクール、青年世代対象の青年母国訪問団まで計1500人の在日同胞次世代が母国を訪れ韓民族としての意識を高めた。
「民団は同胞とともに、大韓民国とともに」というスローガンの下、民団と在外同胞財団が共同で主催した「創団70周年記念写真展」が5月から10月にかけて国内主要8都市とソウル大学、高麗大、国会議員会館で開催された。主要都市の庁舎を使用したことで、自治体公務員らをはじめ、多くの市民が在日同胞の権益擁護運動や祖国発展への寄与など、70年の民団の歴史を写真で理解する機会となった。 在日同胞の歴史と本国に対する貢献を特集したドキュメンタリー番組が国内で相次いで放送された。KBSは10月23日に特集「在日民団70年希望を謳う」を放送し、YTNは11月、特集「玄海灘の架橋在日」を放送した。「在日同胞が本国発展に寄与した事実を初めて知った」との反応が多くあった。
「駆けてきた70年創っていく新しい歴史」とのタイトルで10月21日開催した記念式典と祝賀会には、全国の組織関係者と韓日両国の国会議員をはじめ各界各層から1000人を越す方々が参加した。祖国と在日同胞社会の発展に寄与してきた民団の70年間の足跡を確認するとともに、「民団はより開放的な」組織に変わるべきだなどと盛り込んだ「未来創造メッセージ」の発表を通じて今後のビジョンを提示し、意義深い場となった。
◆熊本地震被災同胞支援活動
16年4月14日から16日にかけて激震が相次いだ熊本・大分県地方の被災同胞を支援するため、中央本部は15日、「熊本地震被災者支援韓国民団対策本部」を設置、中央本部や近隣地方本部職員を熊本県本部に派遣して本格的な救援活動に入る一方、全国から寄せられた約4800万円の義援金を被災者に伝達した。
◆慰安婦問題
韓日間の懸案の一つである旧日本軍による「慰安婦問題」は、2015年12月28日、両国外相が韓国政府が設置する財団に日本政府から約10億円の資金を拠出し、元慰安婦への支援事業に使用することで合意した。この事業が実施されることを前提に、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたと確認した。呉公太団長はこの報道を受け、「両国間の最大の懸案が、国交正常化50周年の土壇場で解決の道筋がつくられた」と地道な外交努力がもたらした歴史的合意を高く評価した。
呉団長はその後も慰安婦問題に関する「韓日合意」の誠実な履行を求めた。17年1月12日の新年会あいさつで、「韓国と日本の国家としての約束が簡単に壊れてはならない。釜山の日本総領事館間前に設置された慰安婦少女像を撤去すべきというのが、在日同胞の共通した思いだ」と強調した。1月17日には李俊揆駐日大使に文書で申し入れ、さらに2月6、7の両日、在日本韓国人連合会(韓人会)などの幹部らとともに、外交部長官や女性家族部長官のほか、主要政党の代表らと面談し、民団の要望を伝えた。
◆2012年
2/3 第52回定期中央大会、第7次宣言案・新綱領を承認。団長に呉公太、議長に金漢翊、監察委員長に韓在銀を選出
2/6 東日本大震災で倒壊した民団宮城仙北支部の新会館が竣工
3/28 第19代国会議員選挙で初の在外投票(~4/2)
4/13 民団、北韓の長距離弾道ミサイル発射に中央団長の「抗議声明」を発表、総連の中央・地方本部に一斉抗議行動
5/18 韓商連第50期定期総会で、洪采植・韓商連組織正常化委員長を新会長に選出
6/22 呉公太団長、民団愛知・中村支部を皮切りに全国支部巡回スタート
7/21 「在日同胞次世代母国研修」、中学生134人でスタート。高校生(164人。24~27日)、大学・短大生(122人。28~31日)、青年会(約240人。9月15~18日)、青年商工人(39人。10月6日~9日)
8/5 在日同胞オリニジャンボリーに237人参加(~9)
9/14 後半期全国地方団長・中央傘下団体長会議で大統領選挙への積極投票参加を確認
9/29 韓日祝祭ハンマダン、新宿大久保地区を中心に開催。第1回全国キムチグランプリ大会も開催(~10/2)
11/8 「在日韓国人法曹フォーラム」創立総会、会長に高英毅弁護士
12/5 第18代大統領選挙・在外選挙投票(~10)
12/12 北韓の長距離弾道ミサイル発射に「抗議声明」、総連本部へ抗議行動
◆2013年
2/12 北韓の3回目の核実験強行に対して中央本部団長の「抗議声明」発表
2/19 第67回定期中央委員会で「法曹フォーラム」を傘下団体に認定
2/25 民団、朴槿恵第18代大統領就任式後に「希望の新時代を開く在日同胞の集い」開く。民団組織幹部ら1200余人参加(ソウル・ロッテホテル)
3/26 天安艦撃沈から3年、「北韓の戦争挑発糾弾集会」開催
7/12 第16期民主平和統一諮問会議・日本地域協議会発足(副議長=呉公太民団中央団長)
8/2 「世代母国研修」、中学生(~5日)を皮切りに高校生(14~17日)、大学・短大生(17~20)それぞれ100人規模で実施
9/21 韓日祝祭ハンマダン、東京・日比谷公園で開催(~22日)
10/12 全国支団長ワークショップを「関東・東北」「九州・中国・四国」「近畿・中北」で開催(~11/7)
10/26 民団中央団長杯争奪・第1回次世代ボウリング大会に青年会、学生会と留学生会の会員約120人参加
◆2014年
1/21 民団中央本部、大韓法律救助公団が在日同胞の権益保護および法律福祉増進のための業務協約書締結
2/19 第68回定期中央委員会で「民団再生運動の拡充」「民族的主体性確立」「韓日友好促進」の3大運動と創団70周年記念事業着手を採択
4/17 前半期全国地方団長・中央傘下団体長会議で民団中央本部人権擁護委員会(委員長、李根茁)発足
4/25 セウォル号惨事犠牲者を弔い韓国中央会館に献花台を設置(2カ月間)
5/22 民団中央本部、「朝鮮通信使縁地連絡協議会」に加入
6/14 民団中央本部、韓国中央会館で「MINDAN就職フェア」初開催
6/21 民団の「全国40~50代後継者ワークショップ」開催(~22)
7/23 「次世代母国研修」、中学生(84人。~26日)を皮切りに高校生(94人。28~31日)、大学・短大生(100人。8月5~8)の順で実施。
7/23 呉公太団長、在外同胞財団に権圭瀅理事長を訪れ、セウォル号犠牲者遺族への募金6億40000万ウォン伝達
8/12 第8回在日同胞オリニジャンボリーに343人参加(~16)
8/18 民団人権擁護委員会代表団をジュネーブに派遣し、日本政府のヘイトスピーチ法的規制を陳情(~21)
9/5 民団主催の大学生ジャンボリー(東京、~7日)に全国から138人参加
9/17 後半期全国地方団長・中央傘下団体長会議でヘイトスピーチ根絶へ全国要望活動推進を確認
9/27 「韓日祝祭ハンマダンin東京」東京・日比谷公園で開催
10/3 韓国中央会館前に在日学徒義勇軍135人を慰霊する「忠魂碑」建立
11/11 民団が韓国国会図書館で「日本のヘイトスピーチと嫌韓出版物展示会」
12/21 韓国中央会館で「ヘイトスピーチを根絶させよう!東京シンポジウム」
◆2015年
2/17 第69回定期中央委員会で「韓日友好・共生促進」「同胞生活支援」「民族主体性確立」「組織改革・強化」の4大重点方針を採択
2/18 第53回定期中央大会で団長に呉公太、議長に呂健二、監察委員長に韓在銀を選出
6/21 申玨秀元駐日大使と武藤正敏・前駐韓大使を講師に「韓日国交50周年記念講演会」開催
7/28 中学生、高校生、大学生を対象にソウルで2015在日同胞次世代サマ-スクール(~8/12)
8/15 第70周年光復節記念式典で①韓半島非核化および平和統一推進への積極参与②韓日国交50周年で両国関係改善への懸け橋役強化③ヘイトスピーチ根絶へ全力傾注などを決議
8/21 民団中央本部、「未来創造フォーラム・イン愛媛」で集中戸別訪問活動実施(~30)
9/1 関東大震災追悼式で流言蜚語、同胞虐殺の背景に迫る「講演会」開催
9/26 東京・日比谷公園で「韓日祝祭ハンマダン2015in東京」(~27)
10/3 団員多様化に対応する「次世代リーダーワークショップ」(~4)
10/30 高麗郡建郡1300年祭を来年に控え高麗神社増築工事に民団関東地方協議会が100万円、民団埼玉本部も130万円を寄贈
11/24 「在日韓人歴史資料館」が10周年記念し新資料で企画展示会
12/22 「在日同胞社会の変化と民団の進路」を主題に「未来創造フォーラム」
◆2016年
1/6 民団、慰安婦問題の韓日合意に対し、朝鮮日報、東亜日報、中央日報に意見広告掲載
1/7 北韓の核実験実施に対し、朝総連中央本部会館前で緊急抗議
2/7 呉公太団長、北韓の長距離弾道ミサイル発射に対し声明を発表
2/8 北韓のミサイル発射に対する対朝総連抗議活動
2/15 中央人権擁護委員会が各法務局とヘイトスピーチ根絶へ意見交換
3/30 第20代韓国国会議員選挙・在外投票開始
4/15 「熊本地震被災者支援・韓国民団対策本部」を設置救援活動
5/16 民団、在外同胞財団と共催で「創団70周年記念写真展」を韓国主要8都市の自治体とソウル大学、高麗大学、国会議員会館で開催(~11月)
5/27 統合「一般社団法人・在日韓国商工会議所」が出帆
7/27 オリニジャンボリーに560人参加(~31、ソウル市内)
8/4 次世代サマースクールに中学生(~8/7)、高校生(18~21)、大学生(23~26)あわせて約400人参加
9/9 全国地方団長・中央傘下団体長会議で北韓の核実験に抗議・決議文を全会一致で採択
9/17 民団中央本部、静岡県全域団員宅対象の戸別訪問を実施(~25)
9/22 在日同胞青年母国訪問に290人参加(~25)
10/21 中央本部、創団70周年記念式典で未来創造メッセージを発信
10/23 韓国KBS、「特集ドキュメンタリー在日民団70年・希望を謳う」を放映、ニュース専門局YTNも11月に「玄海灘の架け橋…在日」放映
◆2017年
1/12 呉公太団長、中央・東京本部共催の新年会で「釜山の慰安婦少女像撤去すべき」と発言
1/17 呉公太団長「韓日合意」の誠実履行を駐日韓国大使に申し入れ
2/15 第71回定期中央委員会で未来創造メッセージの実践化などの方針と「慰安婦合意」の誠実履行を訴える決議文を満場一致で採択
4/12 呉公太団長が江原道の崔文洵知事との間で、平昌冬季五輪成功と相互共同発展を図る「協約書」を締結
4/25 第19代大統領選挙の在外投票(~30)
7/1 東京、大阪、福岡の3都市で「2017年地域同胞指導者ワークショップ」を開催。延べ300人の幹部が参加(~15)
7/25 「次世代サマースクール」に中・高・大学生合わせ194人参加(~8/11)
9/15 東京、名古屋、大阪、広島、福岡の5都市で各地方協議会主催の「北韓の核ミサイル挑発を糾弾する示威行動」挙行(~16)
9/30 青年会中央が結成40周年記念「共育フォーラム」開催(~10/1)
10/7 「戸別訪問集中活動・イン・福岡」で福岡市内743世帯を訪問(~15)
10/30 「朝鮮通信使に関する記録」がユネスコ世界記憶遺産に登録。呉公太団長が歓迎談話を発表
11/21 元中央団長、鄭進常任顧問の民団葬を挙行
12/5 生活相談センター開設10周年で全国の相談員と初の意見交換会
◆2018年
1/16 呉公太団長と崔相英体育会長がソウルで平昌五輪聖火リレー
1/24 平昌冬季五輪・パラリンピック募金2億円を組織委員会に伝達
2/9 平昌冬季五輪開会式に民団参観団約200人
(2018.02.14 民団新聞)