掲載日 : [2018-02-28] 照会数 : 8138
<呉公太団長>同胞の生活が第一…任期6年振り返る
[ 約100人の記者と市民を前に講演する呉公太団長
]
記者・市民セミナー 過去最多100人
民団中央本部呉公太執行部は予期せぬ多難な内外情勢のなか、「同胞の生活を守る」という一心で奮闘してきた2期6年間だった。呉団長が任期満了を前にした19日、第224回記者・市民セミナーに登場し、これまでの活動を振り返った。会場の韓国中央会館大ホール(東京・港区)には民団関係者ばかりか一般市民、記者など100人近い聴衆が集まった。講演会形式としてはかつてない規模での開催となった。
ヘイトS対策法成立させる
良好な韓日関係維持に腐心
呉執行部が出帆したのは12年。この年の8月には当時の李明博大統領が独島に上陸し、韓日関係が急転した。レイシスト(差別主義者)集団が東京のコリアンタウンといわれる新大久保に繰り出す頻度と規模は増すばかり。ヘイトスピーチ全開でコリアンタウンをぐるぐる回った。
終了後も「お散歩」と称して「イケメン通り」の狭い路地を闊歩し、商店街の看板を蹴飛ばすなどの嫌がらせ行為を働いた。新大久保を訪れる韓流ファンは激減。新定住者の経営する約500店舗のうち、1割ほどが閉店に追い込まれた。
「同胞の生活を守らなければならない」。悩んだ末、14年に自ら人権擁護委員会の発足を発議。人権保障と差別禁止のための法制定要求活動を始めた。各地民団の取り組みで意見書採択が広がり、16年5月に念願の「ヘイトスピーチ対策法(解消法)」が成立した。
対策法は民団が強く求めていた差別禁止条項や罰則規定のない理念法だったが、これを機会に目に見える大きな形ではヘイトスピーチが減少していった。呉団長は「日本人も好き、韓国も好きという子どもを育てたい。われわれはなにを言われようが、子どもたちだけはヘイトスピーチの標的にしてくれるなという一念だった」と振り返った。
法案の成立には師岡康子弁護士や有田芳生参議院議員をはじめとする市民運動の後押しがあったとはいえ、「民団が自らの手で自らを守る新たな法律をつくったのは史上初めてのこと」だった。
在日同胞の生活を守るためならば本国内政治にも口を出した。それが「慰安婦問題」の韓日合意問題だ。呉団長は自ら外務部長官に面会し「在日は苦しんでいる」と韓日合意の誠実な履行を訴えた。
呉団長は「民団は政治的問題には口を出さないという立場だ。しかし、韓日関係に影響があるときは立ち上がらなければならない。批判は覚悟のうえだった。在日の生活を守るためには良好な韓日関係が必要」と語った。
呉団長は任期中に在外同胞財団の諮問委員を引き受け、韓日祝祭ハンマダン(日韓交流おまつり)の韓国側代表への就任も打診されている。
(2018.2.28 民団新聞)