掲載日 : [2019-01-01] 照会数 : 13027
一致団結し「三つの努力」…呂健二中央団長新年辞
韓日の友好を支える…ヘイトS根絶継続 共生社会実現へ前進
2019年己亥年を迎え、在日同胞の皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
本年が皆様にとって良い年となりますよう衷心より祈念申し上げます。
良い年を願うだけでは、良い年になりません。新年にあたり、今年を良い年にするため、私たちは一致団結して「三つの努力」をしていきましょう。
一つは、韓日関係を良くしていく努力です。
昨年は、金大中大統領と小渕恵三首相による「韓日パートーナーシップ宣言」から20周年の年でした。また朝鮮通信使がユネスコの世界記憶遺産に登録されて1年目にあたる年でした。過去を直視し、未来志向の平和で友好な関係を強固にしていこうという熱い思いで、各種の記念行事が各地で行われ、両国の親善増進の機運が盛り上がりました。
ところが、元徴用工の判決問題などが起こり、再び両国関係が良くない状況に陥っています。ヘイトスピーチや嫌韓ムードが再燃してはなりません。互いの利益を熟慮し、冷静な対応が必要です。
民団は創団以来72年間、あらゆる困難を乗り越えて、両国の友好関係の維持、発展のために架け橋としての役割を果たしてきました。今後も両国の友好増進に尽くす民団の基本姿勢は変わりません。
民団は全国に48地方本部、265の支部があり、地域において「韓日文化交流センター」の役割も担ってきました。今年は、歴史や文化やスポーツなどの各種行事、韓日祝祭や10月のハンマダンを通じて、民団の役割を一層厚くし、地域社会の発展と韓日関係の友好増進のために寄与し貢献する努力をしていきましょう。
二つ目は、在日同胞社会を良くしていく努力です。
国際社会が激変し、母国の状況も様変わりし、日本社会の風潮も厳しい中で、在日同胞自身が自信を失い不安を覚えています。このままでは在日社会が液状化していくばかりです。これまでの先人たちの努力や未来を担う若者たちに顔向けできません。私たちは堂々として「在日」の出自と100年以上の歴史とこれからの未来を語り、行動していかなければなりません。
全国の民団は創団以来、団員同胞の生活相談の役割を果たしてきました。12年前に、弁護士、税理士、司法書士などの専門家を置いて「みんだん生活相談セんター」を開設し、現在全国15カ所で運営しています。全国の民団は勿論平常から生活相談の役割を担っていますが、一歩進んで同胞の「生活相談センター」の看板を掲げ、より信頼される民団づくりに尽力していきましょう。
地方参政権、前面に
また、団員や同胞の顔が見える「戸別訪問」を通じて民団と同胞間のネットワークを結び、要望や情報の交換、緊急時の連絡網を整備し、同胞間の交流と和合を進めて、団員同胞が安心できるセーフティーネットを構築していきましょう。
ヘイトスピーチの根絶活動は継続してやっていかねばなりません。併せて、在日韓国人として堂々と、住民・市民としての権利である地方参政権を要求していきましょう。
国連の人権差別撤廃委員会は昨年8月末に「何世代にもわたって在日コリアンに地方選挙権がない」ことに懸念を示し、日本政府に付与するよう勧告しています。国際社会の基準では、私たちに地方選挙権がないのは「差別」だと断定しています。日本社会の風潮に押されて、私たちに地方選挙権がないことを差別だと感じず、運動しても無理ではないかと、あきらめている同胞が少なくありません。
在日であることに自信を取り戻すためにも、共生社会を実現するためにも、正当な権利である地方参政権獲得の活動を続けていきましょう。対内的には各地で戦後から今日に至る在日の権益運動の学習会や研修会を開き勉強していきましょう。対外的には政党や各級議員、自治体に要望活動をやっていきましょう。
三つ目は、南北関係を良くしていく努力です。
日本に住む私たちには一定の限界がありますが、やれることは少なくありません。民団の基本姿勢は自由民主主義に立脚した平和統一の希求です。北韓の核ミサイル兵器の廃絶は当然の条件です。
「北送60年」救援を
日本社会だけでなく同胞社会においても、北韓の体制を認めたままの南北統一への機運には大きな不安を覚えています。北韓は人権と自由を尊重し民主化を進めていくことを国際社会に示すことです。6000人以上の日本人妻子が含まれる北送同胞9万3000人の生死の確認と自由往来が論議されなければなりません。今年は丁度「北送事業」から60年になります。現在、200人余りの「脱北者」が日本で暮らしていますが、これに対する人道的処置とあわせて、残留日本人、日本人拉致問題を誠意をもって解決していくことです。この間、北韓に盲従してきた朝総連はこれらのことに全面的に責任を負わなければなりません。
私たちは解決しなければならない諸問題に顔をそむけたり、優柔不断に対応するのではなく、歴史的見地に立ち、民主主義に則った平和統一に向けて、できることをやっていきましょう。
以上、新年にあたり、私たちみずからが今年を良くしていくための「三つの努力」を申し上げました。何もせず、何も動かず、良くなることは何もありません。私たちは民団を中心に、民団をより良く改革しながら、在日同胞社会を良くし、韓日関係を良くし、南北関係を良くしていく努力をしていきましょう。
本年が、すべての同胞の皆様にとりまして、また民団を支えておられる地域社会の人々にとりまして、幸多い年になりますよう祈念申し上げ、私の新年のご挨拶といたします。
2019年1月1日
在日本大韓民国民団中央本部 団長 呂 健 二