掲載日 : [2019-02-14] 照会数 : 14455
「2・8精神」現代に通ず…100周年期し学術シンポジウム
[ シンポジウムには250人が参集した ] [ 左から小野容照さん、裵姈美さん、松谷基和さん、紀旭峰さん ]
台湾・中国と留学生の間に深い交流
2・8独立運動の歴史的意義を東アジア規模で議論する学術シンポジウム「東アジアにおける2・8独立宣言の意義」が2日、東京・港区の韓国中央会館で開かれた。2・8独立宣言と3・1独立運動から100周年の節目を前に、民団中央本部と在日韓人歴史資料館(李成市館長)が共催した。250人以上が参加した。
はじめに民団中央本部の呂健二団長が「先人たちの思いを受け、2・8独立宣言の意義を後世に伝えていかなければならない」と述べた。駐日韓国大使館の李讃範総領事も「2・8独立宣言には自由、民主主義、民族自決といった重要な意味のある価値観が込められている。今の現代日本においても重要」と強調した。
シンポでは小野容照さん(九州大学)が基調講演に立ち、3・1独立運動の「導火線」という従来型の認識を超えた2・8独立宣言の多様な意義と論点を提示した。その一つが朝鮮と中国、台湾からの留学生たちの民族を超えた連帯と交流があったという事実だ。
新亜同盟党(1915~1917年10月ごろ)は日本のアジア侵略からの解放を目指す中国人と朝鮮人、台湾人の各留学生による秘密結社で、辛亥革命と「対華21ケ条要求」への反対運動を背景に生まれた。北神田の中華留日YMCAを主な拠点に革命家としての経験豊富な中国人留学生が主導した。後に2・8独立宣言を主導した金度演、崔八鏞、田栄澤なども主なメンバーだった。
小野さんは「結社の自由が認められていない緊張関係のなかで3者は想像以上に交流し、影響しあう関係にあった。台湾人留学生は中国人活動家の斡旋で朝鮮人留学生と一緒に活動したことで、後に台湾ナショナリズムの覚醒につながった」と報告した。
裵姈美さん(大阪大学)は1920年代初頭の日本における朝鮮人留学生の活動を分析した。2・8独立宣言が3・1独立運動の前史にとどまるものではなく、独自の意味があると述べた。
台湾出身の研究者、紀旭峰さん(早稲田大学)は朝鮮語、中国語、日本語の論説が混在する総合月刊誌『亜細亜公論』を取り上げ、在京の朝鮮人留学生の運動が台湾人留学生に影響を及ぼしたことを具体的に立証した。同誌は1922年5月、朝鮮人の柳泰慶による創刊。わずか9号で閉刊したが、アジアの知識人に開かれた言論空間だった。
総合討論では、李館長の司会で中国史を研究している小野寺史郎さん(埼玉大学)と現代史研究の鄭栄桓さん(明治学院大学)が加わった。
(2019.02.13 民団新聞)