掲載日 : [2004-02-25] 照会数 : 4156
台湾で考えたこと 岡本健吾(NHKソウル支局)
先日、休暇で台湾に6日間滞在した。台湾は国の発展水準や日本との距離、統一問題を抱える点など韓国に似通っていると思っていた。しかし実際に行ってみて、日本に対する意識に大きな差があることを知った。
街角では大音量で日本の演歌が流れていた。CDショップでも日本の音楽は洋楽に次ぐシェアを占めていた。地元の人の話によると、台湾では中国よりも日本に親近感を持つ人が多く、6割の人が中国との統一を望んでいないとのことだった。韓国よりも長い50年間、日本の植民地支配を受けても、台湾は日本に好意的なように見えた。
ところが韓国では、今年から日本の歌謡CDの販売が許可されたばかり。元日、靖国神社に参拝した羽織はかま姿の小泉総理大臣が韓国国民の反発を買った。さらに日本と韓国が領有権を主張している竹島(韓国名独島)の切手販売で、日韓両国はもめたばかりだ。最近、政府や国民の間に北朝鮮寄りの姿勢が目に付く。どうも台湾と正反対なのだ。
確かに事情は異なろう。台湾は列国の覇権に翻弄されて長年独自の政権を確立できなかったが、韓国は日本や中国と競い合ってきたプライドがある。また日韓の問題となると殊更大きく取り上げる韓国マスコミの影響力も大きい。
では日韓関係はこのままでいいのだろうか。時間が解決してくれる面はあると思う。ただ民間レベルの交流は進んでも、政府同士が過去の歴史を直視せずに真の友好関係を築けるのか。その場しのぎの不毛な論争ではなく、解決に向けた真剣な取り組みも必要だと思う。
(2004.2.25 民団新聞)