掲載日 : [2019-12-13] 照会数 : 10444
歴史修正主義を検証…大虐殺・ヘイトをテーマに人権セミナー
[ 韓国中央会館で開かれた人権セミナー ]
民団中央本部人権擁護委員会(李根茁委員長)は4日、東京港区の韓国中央会館で在日韓国人法曹フォーラム(李宇海会長)と共催で、関東大震災の大虐殺とヘイトスピーチをテーマに、歴史修正主義を検証する人権セミナーを開催した。民団や日本の市民運動関係者ら200人余りが集まった。
開会に先立ち、李宇海会長がセミナーの趣旨を説明後、ジャーナリストやノンフィクション作家、小説家など4氏が30分ずつ意見発表した。
ジャーナリストの渡辺延志さんは「関東大震災、その時代と社会の背景を探る」と題し、新聞記者時代から取材・調査してきた関東大震災当時の時代・社会背景や被害で空洞化した報道と流言をはじめ、なぜ震災直後に自警団が組織され、虐殺に走ったのかなどを解説した。
「トリック『朝鮮人虐殺』をなかったことにしたい人たち」の著者でノンフィクション作家の加藤直樹さんは、ここ数年、台頭している「虐殺否定論」の経緯と主張、その矛盾さを解説しながら、史実を消し去ろうする企みを許してはならないと警鐘を鳴らした。
続いて、「関東大震災に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会」代表で「ほうせんか」理事の矢野恭子さんは、会の歩み、2009年に荒川土手に建立した追悼碑にまつわるエピソードを語った。
最後は『緑と赤』の著者で在日3世の深沢潮さん(小説家)は「差別煽動と日韓両国のはざまに立つ在日の思い」と題して、「小説トリッパー」で書いた『李の花は散っても』で描いた関東大震災のシーン、『緑と赤』で書いたヘイトスピーチと在日同胞の心境などを述べた。
この後、参加者からの質問書に応える形で行った意見交換に続いて、関東大震災犠牲者の冥福を祈り参加者全員が黙祷を捧げた。
(2019.12.13 民団新聞)