掲載日 : [2004-03-03] 照会数 : 3994
凛と輝いたチョゴリ 藤原史朗(「全外教」代表)
このコラムに「本名を言いました」のタイトルで、勤務する市立尼崎高校の在日高校生、金佳奈の手記を紹介したのを覚えておられるだろうか。 それから2年半、今年2月27日、彼女は本名を呼ばれ「ネエー」と答え、校長からクラス生徒分の卒業証書の束を受け取った。ピンクのチョゴリとスカーレット色のチマ。黒っぽい式服の占める会場に凛と輝いた。全てがこの一点に集中した。
今回は彼女の高校生最後の文章を紹介して終わりたい。
「3年間あっという間だった。今まで得たものはたくさんある。目に見えないものが。やっぱり特設HRと史朗さんの存在が大きいだろう。人権問題に取り組んでいなかったら今の自分はないだろうし、周りの人を思いやらない人間になっていたと思う。だから取り組んできて良かったと腹の底から言える。私は本名で生きていく。『金本』じゃなく『金佳奈』として生きていく。『帰化』をしたとしても名前は変えない。これが本当の自分の名前。卒業式も絶対金本なんて言わせない。チョゴリを着るのもすごく迷った」。「最近まで自分じゃなくて親や先生や友達のことを思って着るかどうかを決めていた。その考えをやめて自分がどうしたいかだけを考えた。そうしたら頭の中がスッキリ整理できて結論が出た。『佳奈は自分のためにチョゴリを着る。卒業するのはあくまで自分自身のことなんやから』」。「卒業式、みんなに白い目で見られてもいい。華やかで綺麗なチョゴリで証書を受けたい。本当の自分で卒業したい。それが社会への大きな一歩となるから。また少し強くなれるだろうから」。
(2004.3.3 民団新聞)