掲載日 : [2004-04-21] 照会数 : 4926
創立50周年迎える東京韓国学校 未来に対応した民族教育の拠点(04.4.21)
[ 今年4月に新設された在日同胞班 ]
同胞社会に人材輩出…〞在日と本国〟共学に意義
東京韓国学校(孫性祖理事長、金龍萬校長)は26日、開校50周年を迎える。この半世紀に輩出した卒業生は5240人にのぼり、在日同胞社会はもとより本国でも貴重な人材となって活躍している。同校の今日の発展の陰には、民族教育にかけた民団中央本部と歴代の教育者の並々ならぬ使命感と情熱があった。
東京韓国学校は53年5月に開催された民団中央本部の大会決議を経て設立された。校舎は新宿区若松町にあった当時の民団中央本部の敷地内に建てられた。首都圏で太極旗がひるがえる初の民族学校が誕生した瞬間だ。
当初の生徒数は小・中学生あわせて26人。設備といえるほどのものはなかったが、民族教育にかける意欲だけは熱いものがあったという。1期生でもある洪性豪前教頭は「運動場に出ると民団の人が家族のようにして迎えてくれ、一緒に遊んでくれた」と振り返る。
学校の運営を担う理事陣も、当初は民団の組織人で構成されていたため、教職員の給料を払うために東京商銀(当時)から借り入れ、その後で経済人から募金を集めて返済するという自転車操業がしばらく続いた。
運動場の鉄棒や木馬などの体育施設、飲料用水道施設などは寄付をもらいながら一つずつ整備していった。
こうしたたくさんの在日同胞の支援を得て学生数は年々増え、69年には713人に達した。この時代が在日同胞子弟が最も多かった時代だった。90年には在日同胞社会から13億円という浄財を集め現在の校舎を建てた。これも、在日同胞の民族教育に寄せる関心の高さを表しているものといえよう。
一方、在日同胞社会の世代交代が進む70年代以降、在日同胞の学生数は緩やかな漸減の道をたどった。これは同校が各種学校としてしか認可が受けられず、当時は日本の国立大学への進学が難しかったことも影響している。在日の生徒が減少したのに反して一時滞在者の子弟が増え、95年には700人近くに達した。
学校理事会では「在日同胞学生と本国の学生の共学にこそ東京韓学の存在意義がある」との考えのもと、在日学生と本国学生の均衡回復に努力している。今年4月からは在日同胞と本国学生が混在する「在日班」が中等部でスタートした。
様々な苦難に直面し、時代の大変化にもまれてきたが、開校50周年を迎えてさらなる質的な飛躍を目指している。
50周年記念行事は24日午前10時から同校講堂および運動場で開かれる。
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国際化への布石着々…英韓語学教育も充実
民族学校としての基盤の上に立って、国際学校としての機能転換を図っている。
数学や科学などの教科を英語で授業を進める初等部1、2、3学年のイマージョン教育は、04学年度から4年生まで広げた。韓国語ネイティブの教員は初等部に10人、中高等部に7人を配している。
イマージョン教育の導入に伴い、韓国語教育も以前の40人体制から15〜20人の少人数編成できめ細かく行っている。
父母はイマージョン教育導入に伴って授業料の負担が大きくなっているものの、おおむね好評で生徒数増加にも結びついている。初等部については定員を72人から80人にまで増やしたが、今年度5人が入学待機組となった。
インターネット施設は他校から見学に来るほどの充実ぶりを誇る。パソコン台数は現在、200台以上。学校の中にサーバーを設置しており、授業はパソコンと連動した先進の大型映像機を使っている。
IT教育を始めた当初こそ、全学年で毎週1時間ほどパソコンの基礎訓練を行ってきたが、現在はそれも必要ないほど。ほぼ全生徒がパソコンの操作に不安がなくなったという。
生徒数は現在862人で一時滞在が65%を占める。定住が2割、永住は1割ほど。生徒数増加に伴い、教室不足解消が当面の課題となっている。
(2004.4.21 民団新聞)