掲載日 : [2004-04-21] 照会数 : 5796
同胞保護者・民族学校への期待 「子どもの可能性広げたい」(04.4.21)
今春から入学…「まず、韓国語習得を」
東京、京都、大阪の韓国系民族学校4校に今年も多数の在日同胞子弟が入学した。なぜ、近隣の日本の学校ではなく、遠くても民族学校に通わせようというのか。保護者に胸の内を聞くと、「我が子の可能性を広げたいから」という意見が目立った。
「在日」でなく世界で活躍を
徐正根さん(43)=東京、大学教員=は今春、長女を東京韓国学校中等部に入学させた。同校は語学教育に力を入れており、今年度、新たに「在日班」もできた。韓国人としての我が子の自覚を育み、世界で活躍できる人材に育てるには韓学しかないと決意したという。
長男は1月から東京韓学初等部3年に途中編入したばかり。家では片言ながら韓国語と英語、日本語を織り交ぜて話す。自由奔放な空気のなか、学校生活を楽しんでいることも徐さんが韓国学校を選択した理由だ。
徐さんは長男にはいずれ韓国の大学に進んでほしいと思っている。長女はというと、ヨーロッパへの留学を思い描いているようだ。この願いもかなえてあげたいという。
「在日班」への期待と不安半ば
金一恵さん(44)=千葉県習志野市=は「本国のカラーが強い」東京韓国学校にもともといいイメージは持っていなかった。
転機となったのは中等部に「在日班」ができたこと。「入れるつもりはなかった」が、教育環境を変えることで長女の内なる可能性を引き出せるならばと、ご主人の金鎮得さんとも相談のうえ今春から中等部に入学させた。
長女は兄妹と共に幼稚園から休まず民団船橋支部の「土曜学校」に通ってきた。在日韓国人として生まれたからには「韓国語は必須」というのは夫妻とも共通の思いだった。
金さんには長女の人見知りの性格で韓学になじむのかと、いまでも不安はあるという。一方で「在日班」をつくって学校を改革していこうという韓学理事会の意欲に賭けてみたいとも話す。
2つの文化を学んでほしい
高友美さん(33)=大阪府堺市=は昨年の長女に続き、今春から長男を白頭学院建国小学校に入学させた。
長女は1年間で韓国語の基礎をマスター、あいさつもできるようになった。高さんは「子どもの吸収力はすごいな」と驚いている。性格ものびのび明るくなったという。これならばと、長男も入学させた。
「日本に住んで、ここで暮らしていくのですから、両方の文化を学んでほしいというのが親の気持ちです」と高さん。
韓日両国の架け橋役に
尹金子さん(45)=大阪市西成区=は「将来、日本と韓国の橋渡しの役割を担えるようになってほしい」との期待を込めて我が子を金剛学園小学校に入学させたという。
朴聖洙さん(44)=大阪市平野区=と金聖寅さん(39)=大阪市平野区=も「子どもには日本のことも知って知ってほしいがまずは韓国語を話せるようになってほしい」と金剛学園に期待をかけている。
寮生活通じて人間的成長を
高晴美さん(48)=大阪市生野区=は少年野球「ボーイズ」に所属して野球をしてきた我が子を京都国際学園京都国際高校に入学させた。
親子とも夢に描くのは硬式野球部の甲子園出場だ。
これからの3年間を寮で過ごすことになる子どもには「人間的なことも育ってくれることを願っている」。
(2004.4.21 民団新聞)