掲載日 : [2004-05-12] 照会数 : 4162
援助活動も統制する国 石高健次(朝日放送報道プロデューサー)
北朝鮮・龍川駅での列車爆発で被災者に対して、即座に韓国から援助の申し出が出された。
それに対して北朝鮮側は、陸路での援助物資輸送を断ってきたと外電は伝えた。
情報不足もあり断定はできないが、ロシアなど援助国の中には輸送手段をどのようにしたらいいかで躊躇しているところもあるようだ。
北朝鮮の、援助は欲しいが外国から入ってくるものは徹底的な管理と統制下に置くという体質、また、現場周辺での国際電話回線を遮断するなどの閉鎖体質が混乱を助長している。
援助活動遅滞のために生命の危機状態にあるといわれる数百人の被災者や千人を超す負傷者がさらにどれだけ犠牲となるのか。
加えて、過去の爆破テロや現在進行形の日本人拉致事件など、独裁者とその体制維持のためにどれだけ多くの人間が犠牲になってきたかを思うと、かの国はやはり「暗黒の地」だといわなければなるまい。
先の韓国総選挙では対北強硬派議員は激減し当選者の中にも選挙中は北攻撃を控えていた者が多かったという。
若い世代を中心に親北反米感情の高まりが背景にある。
こうした事態を、少なくとも私の周囲の在日コリアン(主に40代以上)は、好感を持ってみてはいないようだ。
融和主義そのものが悪いのではない。
南北朝鮮は同じ民族、近いからこそ、幻想や情緒に流されず、「是は是、非は非」という明確な姿勢で臨んで欲しいと思う。
〞融和の微笑〟の影に抑圧され犠牲を強いられる人々の悲劇が覆い隠されてはならない。
(2004.5.12 民団新聞)