掲載日 : [2004-07-21] 照会数 : 5368
隣国理解へ韓国語学習(04.7.21)
【奈良】センター入試の外国語科目に韓国語が導入され、高等学校でも「総合的な学習」などを通じて隣国の言葉に接する機会が増えている。韓国と歴史的に深いつながりのある奈良県から県立高取高校と私立東大寺学園の実践の一部を紹介する。
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県立高取高等学校
正規授業48人が学ぶ
奈良県立高取高校(藤岡明校長)は「ハングル」が正規の授業。生徒は2年次に第2外国語として「ハングル」、中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語のなかからどれか一つを選ぶ。
「ハングル」の授業は火・木曜日の週2回。現在、2年生が21人、3年生は27人が学ぶ。講師は橿原市在住の周希貞さん(51)が担う。授業では歌や韓国のことわざも取り入れて好評だ。
3年生のある男子生徒は「テレビに映る韓国の町並みを見て、ハングルの表記を読めたときはうれしかった」と顔をほころばせていた。中には「うちのお母さん、『冬のソナタ』にはまっている」という女子高生も見られた。
高取高校が韓国との間で深いつながりができたのは、95年に韓国への修学旅行を実施してから。99年には韓国の扶餘高校との間で姉妹校関係を結んだことから03年度からの「ハングル」導入となった。藤岡校長は「韓国語学習を通じて韓国の歴史や文化にも興味を持ってくれたら」と期待している。
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私立東大寺学園中・高等学校
在日生徒の希望で開講
私立東大寺学園中・高等学校は91年から週1回、クラブ活動に「ハングル講座」を設けた。当初は在日同胞生徒だけで学んでいたが、94年から日本人生徒にも開放している。現在は中・高校生10数人が学んでいる。
講座開設のきっかけとなったのは、90年に中学校に入学してきたある在日韓国人生徒が「母国語を勉強したい」と希望したことからだった。その年は開設が間に合わず、私立帝塚山高校の韓国語教室で1年間学ばせた。
生徒たちは1年目で文字と簡単な日常会話を習得し、2年目には簡単な形容詞や動詞を使いこなす。
クラブ活動の部長を務める李豪君(高2)は、「中学に入ってから初めて習ったが今はハングルが読めるようになった。1人でも多く部員を増やし、この喜びを分かち合いたい」と張りきっている。また、ある日本人生徒(高3)は「ハングル講座に来てから在日韓国人のことがわかってきた。在日韓国人と日本人が共生できるよう、日本社会も変わらなければ」と話した。
(2004.7.21 民団新聞)