掲載日 : [2004-12-08] 照会数 : 9148
大学入試に韓国・朝鮮語を 民団・総連初の合同要望(04.12.8)
[ 大阪府立大に要望書を渡す民団(左)、総連の大阪府本部代表(11月30日) ]
大阪府立大・大阪市立大 入試の2次にも
【大阪】民団大阪府本部の方明宣副団長と朝鮮総連大阪府本部の夫永旭副委員長、同胞保護者連絡会の高用哲会長らは3日、大阪市立大学を訪れ、2次試験の外国語選択科目に「韓国・朝鮮語」を入れるよう合同で要望した。11月30日の大阪府立大学への要望に続くもので、民団と総連の両府本部が共同交渉を行ったのはこれが初めて。
方副団長は「この要望は在日同胞の総意だ。在日が多いという大阪の地域性を考えてほしい」と訴えた。また、夫副委員長も「次世代を担う若い人たちの教育の場として、選択肢を広げ、いっそう前向きに検討してほしい」と要望した。
これに対して市立大は、「02年から1次試験の正式科目として韓国語を導入し、現在専任教員が1人いるものの、1人では入試問題の作成、点検、答案採点が困難。引き続き重要課題として検討する」と回答するにとどまった。
民団側は続けて「97年にセンター試験に採用された中国語は、翌98年には2次試験の外国語として採用されている。韓国語は02年に採用されたのだから、同じように2次試験にも採用されるべきではないか」と迫ったが、市立大は「大阪市の財政が苦しい。教員を減らさなければならないという現状がある」と弁明した。
府立大の「総合的な判断から2次試験の外国語科目は英語としている」との回答に対し、「英語だけに固執するのはおかしい」、「センター試験の選択科目になっているにもかかわらず、現状では生徒たちの向上心が報われない」と民団、総連ともに追及したが、試験問題作成の準備不足などを理由に消極的な態度を崩さなかった。
民団では府立大と市立大に対し、95年度から2次試験の外国語科目に韓国語を採用するよう要望活動を展開してきた。02年度に大学入試センター試験の選択科目に正式に組み入れられてからは、交渉の場に新たに建国高校と金剛高校も加わっている。
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中央の和合へ礎に
《解説》今回の合同交渉は、民団大阪府本部が朝鮮総連と同胞保護者連絡会に呼びかけて実現した。民団、総連の府本部が00年の南北頂上会談を受けて、「ハナマトゥリ」を共催してきた実績も下地になった。
民団と総連はこの間、親睦を中心に全国の地方本部、支部レベルで交流を積み重ね、制度的無年金同胞救済のために共同で交渉を行った地域もある。両府本部は最大の同胞集住地区を基盤とするだけに、合同交渉の持つ意味は大きい。
総連は各県本部や支部、同胞たちの生活単位で、民団との共同事業が幅広く行われているとし、「祖国の統一と在日同胞社会の団結を促進させる上において民団との関係は重要な懸案」(総連事務総局長の「祖国光復59周年に際して」と題するコメント=8月13日)との認識を示してきた。民団もこの間、在日同胞の諸懸案解決に協力するための両団体による常設協議機構の設置を提議し、金宰淑中央団長の光復59周年慶祝辞を通じて、60周年式典の共同開催を呼びかけている。
両団体が和合する条件は整いつつあり、これを全同胞的かつ効果的に推進するための秩序・システム確立に向け、中央機関どうしの和解・協議が急がれている。両府本部の今回の共同行動は、その礎の一つと見たい。
(2004.12.8 民団新聞)