掲載日 : [2005-01-26] 照会数 : 5388
わたしのヨン様効果 織井青吾(作家)
それにしても、ヨン様ブームたるや大変なものだ。生のヨン様をひと目なりとも見たいと、多くの日本婦人が押しかけ、怪我人までが出る始末である。
なるほど、この男優の微笑たるや、そのへんに転がっているような爽やかさなどでは、決してない。正直言って、生まれてこのかたお目にかかったことのない笑顔なのだ。思うに、日々いや刻々と右傾化してやまない日本の現実が、余計にそれを感じさせるのかもしれない。
本国の韓国では、そのヨン様のもたらした経済効果が注目される一方、昨年11月29日の韓国日報紙は「両国民の間にあった心理的障壁を大きく崩した」などと評価している。かと思えば、同月26日のイギリス・タイムズ紙は、海の向こうから「日韓の間に永年にわたってあった不信感。このYONSAMAがもたらした韓国ブームは、観光面だけでなく、人的交流という際立った現象を生み出している」と報道。
その反面、こういったヨン様ブームに不快感を示す日本の政治家も、当然いる。それはそうであろう。かのヨン様の笑顔の横に、どこかの首相のうすら笑いや、知事の傲慢そのものの顔を並べてみるがいい。どうひいき目に見ても、ご両人の顔が鬼面夜叉に見えてくるから不思議である。これが、私にもたらした最大のヨン様効果である。
ヨン様ブームをアホ呼ばわりし、冷笑するセンセイ方もいるらしいが、「ぺ・ヨンジュン愛してる」を生まれて初めてのハングル文字で習い覚えて、ソウルへ旅立っていった日本婦人もいたという。日韓交流の入口などどこでもいいのだ。
(2005.1.26 民団新聞)