掲載日 : [2005-02-23] 照会数 : 8371
こき使うぞ留学生 布袋敏博(早稲田大学教授)
勤務先の大学で、現在、朝鮮語は人気語学科目の一つである。2004年度の受講者数は1300名弱、私が教え始めた1999年の約2・5倍で、これら以外に抽選漏れの待機者が約200名いるという状況である。これには昨今のいわゆる「韓流」ブームも関係してはいるだろうが、受講者数が99年以来ずっと右肩上がりであることを考えるなら、もう少し以前から若者たちの持続的な関心があると見るべきだろう。
90年代中盤あたりから韓国映画に秀作が増えてきた。そうした映画やK‐POPへの関心、また2002年の日韓Wカップ共同開催など、諸要素が複合作用して「韓流」ブームにもつながったということかもしれない。 学生たちは、こうして「韓国文化」に親近感を覚えながら、しかしそれだけにとどまってもいない。他方で、マスコミのすさまじいまでの「北朝鮮バッシング」報道にもかかわらず、冷静に朝鮮半島を見、理解しようとしている。
後期だけだが、「現代韓国・北朝鮮研究入門」というオムニバス形式の講義を開催している。各分野の専門家がさまざまな角度から分析・紹介して、非常に好評を得ている講座だが、そこでの反応を見ても、そう思う。 さらに「在日」に関するゼミもすこぶる評判が高い。そこでは、日本人学生と、韓国籍、朝鮮籍区別なく在日の学生とが、ひざつきあわせている。学内にはまた韓国人留学生も多く、彼らはいつの間にか友人になって、授業にもよく連れてくる。そんな時はこちらも、「模範発音練習」と称し留学生をこき使うのである。
彼らのしなやかな姿勢こそが希望である。
(2005.2.23 民団新聞)