掲載日 : [2005-04-27] 照会数 : 6491
<寄稿>崔顕明(民団新聞元編集長)(05.04.27)
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民団新聞の2500号に寄せて
権益擁護運動で主導的役割
民団の機関紙「民団新聞」が紙齢2500号を数える。
民団の歴史は、在日1世たちによって、祖国の成長過程をそのまま反映して推移してきた。即ち解放後、祖国は南北に分断され、対峙と相克が続いた韓国動乱前後の混乱時期は、在日同胞社会でも民団と総連の熾烈な闘争の時期であった。しかし今では、民団が同胞社会唯一の指導団体としての位置づけを確固たるものにした。
特に在日同胞の地位向上を図り、日本での差別環境を是正していくための権益擁護運動では、機関紙は同胞たちの権益意識を触発し、団員たちの共感を得ることで、全国的な行政差別撤廃運動へと発展させ、指紋押捺撤廃など多くの差別条項を是正するのに大きく貢献した。
解放後60年を経て、在日同胞社会は既に1・2世の時代から3・4世時代に移り、在日同胞組織としての民団のあり方も大きな転換期を迎えている。
いまや在日同胞の大多数が祖国を故郷として実感できず、日本社会の習慣や文化にどっぷりとつかった者たちである。
こうした世代に一昔のように「本国一辺倒」をいくら説いても全く通用しない。
また、世相も大きく変わり、IT時代を迎えて、インターネットを通して個人の意思疎通が当たり前の時代に、機関紙がお題目だけの主張を繰り返しても、もはや何の意味も持たなくなっている。
かつて在日同胞社会を二分した総連組織も東西陣営の対決終焉で衰退し、民団が実質的に在日同胞社会の唯一の指導団体となっている。
従ってこれからの民団は権利獲得の運動ばかりでなく、先の規約改正で日本国籍取得者も団員として取り込んだように、在日同胞が末永く自らのアイデンティティに誇りを持ち、在日韓国人として胸を張って暮らしていけるようにしなければならない。
日本国内各界で活躍している数多くの人材が、在日同胞のために貢献できるような仕組みを考案し、在日独自の文化を日本社会に育て、民団が今後も在日の中心的組織として魅力ある団体であり得るよう機関紙「民団新聞」は尽力していかねばならないだろう。
(2005.04.27 民団新聞)