掲載日 : [2005-04-27] 照会数 : 6099
共生教育論文の方政雄さんに「優秀賞」(05.04.27)
[ 方政雄さん ]
共に生きる教育実践を論文に…方政雄さんに「優秀賞」
帝塚山国際理解研究所
【兵庫】04年度「国際理解教育賞論文」(帝塚山国際理解研究所主宰)に応募していた在日2世の方政雄さんが2次選考まで残り、4月に入って「優秀賞」に選ばれていたことがこのほど明らかになった。
方さんは神戸市内の兵庫県立湊川高校で外国語科「朝鮮語」と「社会」の教鞭をとる現役の教師だ。01年から02年まで県教育委員会の派遣として兵庫教育大学大学院に通い、「日本社会の中で日本人と在日コリアンをはじめ在日外国人がともに生きていくための教育方法(理論・実践)」について研究してきた。
受賞論文は「『総合的な学習の時間』における国際理解教育の授業実践‐単元『在日韓国朝鮮人をはじめとする在日外国人理解を深め、違いを認めあい共に暮らそう』」。このなかで方さんは、在日外国人、なかんずく在日韓国・朝鮮人と共に暮らす課題とその解決方法を探ったという。「その道筋は、他の在日外国人との共生関係を築く試金石であり、また担保でもある」と考えるからだ。内容は大学での研究成果と、高校の教育現場での日々の実践が有機的に結びついたものとなっている。
審査にあたった米田伸次国際理解教育学会会長は「優秀賞3点の中で抜きんでていた。最優秀賞該当作がなかったので実質的にトップのできだった。単元構想、授業実践の組み立て、授業分析とその評価と、いずれも異色で極めて優れていた。多文化共生が叫ばれているいま、教えられるところが多い」と最大級の賛辞を贈っている。
方さんは高校教員を続けながら今春から神戸学院大学非常勤講師として教職課程の「公民科教育法」講座を担当、「さらなる研究・実践を続けたい」と意気込んでいる。
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「示唆に富む内容」…さいたま大宮高校の江藤善章さん
「国際教育」という授業実践の多くは授業者の一方的な思い入れのなかで行われることが多いなかで「異文化を持つ人々とともに生きていく態度の形成をはかるためには、実践的な態度や資質、能力の育成を目指した体験的な学習や課題学習が指導の中で取り入れられる必要がある」と目的が明確だ。
その授業についても「生徒たちが授業者の意図をどれほど自己のものにすることができたのかを分析し、評価をする必要がある」ことを事例の中で検証している。肝に銘ずべきことである。
生徒たちに単に問題を提示するだけでなく、自らの課題として実践する主体として自覚するかどうかは、授業者自身も生徒とともに問われるものである。私にとっては大きな示唆に富む内容だった。
(2005.04.27 民団新聞)
(2005.04.27 民団新聞)