掲載日 : [2005-05-11] 照会数 : 7291
郷土愛の奨学会 大きく成長(05.05.11)
基金2億ウオンから倍増
支給対象 3年目で150人へ在日同胞が設立
都内の団員が私財を投じて全羅南道宝城郡の郷里に設立した「宝城郡秋信奨学会」が今春、小・中・高校生146人に合わせて4780万ウォンの第3回奨学金を手渡した。支給額、対象者数とも回を増すごとに規模を拡大している。来年度は支給対象者を150人まで増やす計画だ。
同奨学会は葛飾区在住の金玉男さん(92)が02年、2億ウォンを基金として設立した。基金は宝城郡教育庁が管理・運用し、奨学金支給対象者の選抜も行っている。第1回は03年春に郡内の中・高校生60人に1年分として総額2500万ウォンを支給した。同水準で支給を続けても約10年間は安泰と考えての出発だった。
ところが、在日同胞が宝城郡で初めて設立した奨学会は、金さんの郷里で大きな反響を巻き起こしていた。2年目の04年度には教育庁の進言を入れ、小学生も対象に加えて100人とした。支給額も年間で計3540万ウォンにふくれあがったため、金さんは急きょ基金を増額した。これですでに計5億ウォン以上を投入したことになる。
今年度はソウル市と光州市内に在住する宝城郡出身者の子弟が新たに加わった。内訳は宝城郡庁管内で105人、ソウルと光州市管内が41人。合計支給額は年間で4780万ウォンだった。今年度、金さんは4月12日に宝城郡庁、その後もソウルと光州市を回りそれぞれ奨学金を手渡した。
宝城郡教育庁によれば現在の基金残高は4億2194万2508ウォンだという。このままでも8、9年は支給を続けられる計算だが、金さんとしては来年度から中学生(年間30万ウォン)と高校生(年間50万ウォン)各75人、計150人に固定していきたい考えだという。
金さんは「奨学会を設立したときは簡単に考えていたが、いまになって奨学事業の奥深さを思い知らされた。残った人生のすべてをここにかけたい。これからも資金は無限に必要になってくる。在日社会で経済的、精神的に奨学会を応援してくれる人が出てきてくれることを願っている」と話している。
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金玉男さんの略歴
金さんは同郷の有志で「宝城会」を結成し、60年代初頭から約30年間にわたって郷里の発展に尽くしてきた。代表的なものは2億4000万〓をかけて郷里全体の電気設備を整備したこと。このほか、老人会館の建設や学校施設の拡充など数えきれない。その宝城会も会員の高齢化で解散したことから、渡日以来の念願だった奨学会設立にかけてきた。奨学会の「秋信」は金さんの2人のこどもの名前から1文字ずつとった。ここには代を次いで半永久的に奨学会を運営していきたいとの願いが託されている。これまで中小企業連合会長賞、東京都葛飾区区長賞、全羅南道宝城郡民賞などを受賞し現在、民団葛飾支部顧問。
(2005.05.11 民団新聞)