掲載日 : [2005-05-25] 照会数 : 6315
歴史資料館11月にオープン
[ 資料館への関心が高まる中、貴重な写真に見入る参観者たち=05年2月10日、第3回民団フェスティバル ]
韓国中央会館別館を改装
「生活と闘い」一堂に概要固まる
民団が重点事業の一つとして進めてきた「在日同胞歴史資料館」の概要がほぼ固まった。文教局によれば、韓国中央会館の別館に総面積約230坪を確保、そこを中心に本館の一部も関連展示施設に活
用する。「在日100年」を記念する同館は、11月中にもオープンする見込みだ。
在サハリン同胞も協力
2003年7月から本格化した資料館設立事業は、在日同胞の歴史にかかわる資料の収集・整理と施設の確保を2本柱に推進されてきた。資料収集は順調に推移し、すでに文献類3500点、写真・映像類200点、生活用具や労務手帳、協和会手帳といった証票など「歴史を語る物」類が120点余寄贈されている。
中央会館本館ホールの常設ミニ展示や民団フェスティバルに際しての展示、あるいは本紙のキャンペーン(「〈物〉が語る歴史」。)を通じて、同胞たちの関心を掘り起こしてきた。韓日国交正常化以前からの歴代のパスポートなど、貴重な資料の提供が現在も続いている。
施設については、全国民団組織の象徴でもある中央会館内に併設する案を中心に検討されてきた。資料館が置かれる別館は、在日韓国商工会議所とその傘下団体、あるいは居住施設として使用されているもので、関係者の理解を得て明け渡しが決まっている。
資料館の構成は資料・図書室、映写室兼セミナー室、第1・第2展示室のほか、事務・応接室、管理・保管室などからなる。また、随所に小会議室、休憩室を設け、本館ホールや5階から8階までの階段壁面を補助展示場にする予定だ。6月8日の開設推進委員会の第2回運営委員会、中央執行委員会に提案される。 時代の証言者である1世の多くが世を去り、重要資料の散逸も目立つことから、在日同胞にかかわる歴史資料保存利用機関の必要性が高まっていた。乙巳条約(朝鮮統監府設置などを強いた第2次韓日協約)が締結された1905年を在日同胞社会形成の起点とし、今年を「在日100年」と位置づける民団にとって、資料館の設立はその記念事業の一環だ。施設にメドがたったことで、資料提供にも弾みがつくものと予想される。
在サハリン同胞も歴史資料館に強い関心を寄せ、サハリン州韓人協会、同老人協会、(社)ロシア連邦サハリン州二重徴用鉱夫遺家族会も全面協力を約束している。これは、資料館調査委員会の呼びかけに応じたもの。
今年1月21日付の「新高麗新聞」には、生活用具や写真などの提供を呼びかける案内記事が大きく掲載された。反応はよく、1946年に設立された韓人学校の集合写真や教科書、族譜、戸籍謄本、印鑑などが集まり、一部はすでに資料館に寄贈された。遺家族会では8月に、炭坑跡地を探索して炭坑で使った道具などを収集、調査委員会に寄贈する方針だ。
サハリン(樺太)の南半分は第2次大戦終結まで日本の領土であり、連行・徴用で苦役に就かされた同胞たちは、在日同胞社会の一部を構成してきた。
(2005.05.25 民団新聞)