掲載日 : [2005-06-08] 照会数 : 6898
在日の歴史性無視…大阪地裁
「国の裁量権の範囲内」老齢年金棄却
【大阪】外国籍を理由に国民年金制度から除外された大阪府内の高齢同胞5人が国に1人あたり1500万円の損害賠償を求めていた訴訟で、大阪地裁は5月25日、請求を棄却した。在日外国人の老齢年金不支給をめぐる訴訟はこれが初めて。
小西義博裁判長は「法制定時は日本国民に対する社会保障が急務とされていた。国籍による制限条項を設けて外国人を対象外としたことは裁量の乱用に当たらず、憲法に違反しない」と述べた。
82年の法改正後も経過措置がとられなかった「立法不作為責任」については、「なんらかの救済措置を講じることが望ましい」としながらも、国会のより広い裁量権を認めた。さらに「国庫負担による救済措置は一義的に所属する国家が負うべきだ」と切り捨てた。
判決を受けて地裁司法記者クラブで記者会見した原告代理人の丹羽雅雄弁護士は「立法を促す文面がまったく見られない。1905年以降100年に及ぶ歴史を持つ在日の歴史性と生活実態を無視した非常に不当な判決である」と強く抗議した。
(2005.06.08 民団新聞)