掲載日 : [2005-07-13] 照会数 : 6846
浮かばれない徴用同胞の魂
遺族無視し粉砕処理…民団愛知が抗議
【愛知】名古屋市内の東山霊安殿に安置されていた韓国人・朝鮮人を含む1091人分の遺骨が、身元や遺族の確認がされないまま霊安殿を管理運営する名古屋市北区の社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会の判断で「無縁仏」として粉砕処理されていた。
民団愛知県本部(梁東一団長)は91年段階で市社協から韓半島出身者と見られる「無縁仏」121人分に関する資料を受け取り、独自に10数人の身元を突き止めていた。この中には戦時中、九州などの炭鉱に強制徴用されたと見られる遺骨も含まれていた。
同本部は8日、名古屋市北区の社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会を訪ねて、「いろいろな経緯で日本の地で死亡した韓国・朝鮮人の遺骨をなんの問題意識もなく、日本人の遺骨と一緒に粉骨したことは無神経極まる行為だ」と抗議した。総連愛知県本部からは朝鮮人強制連行真相調査団の一員でもある金順愛同胞生活部長が同席した。
市社協によれば、霊安殿は99年、千種区から同市天白区の市営八事霊園の敷地内に移転した。その際、内規を変えて84年3月までに亡くなった1091人分の遺骨を「土に返す」ことにし、業者に処理を委託した。粉砕処理された遺骨には在日同胞の10数人分が含まれていたと見られる。処理後は石川県門前町にある総特寺に納めたという。
席上、同本部の姜裕正事務局長は、市社協の海野稔博総務部長に対し、既存の121人分の身元調査につながるさらに詳細な資料、および91年以降に「無縁仏」とされた韓国・朝鮮人の名簿の調査提出を求めた。これに対して市社協側は「プライバシー保護」を理由に法務省に判断をゆだねている。市社協では93年までに預かった「無縁仏」についても来年3月までに再び粉砕処理する方針とされるが、これについても韓国・朝鮮人については中止を申し入れた。
また、現在身元の判明している10数人の韓半島出身者については、民団側が身元調査、および親族調査を名古屋市などに要望していく考えだ。
同本部の姜事務局長は「民団の身元調査は犯罪捜査ではない。プライバシーを持ち出すのは勘違いも甚だしい」と話している。
(2005.07.13 民団新聞)