掲載日 : [2005-08-17] 照会数 : 6030
李明守税理士の同胞税務相談
民団の不動産名義 個別的に法人化を
Q 当民団支部は、わが会館の土地建物を役員連名の共同名義で登記していました。団員の支援により建築された会館不動産は、民族財産として永久保有できるのが望ましいのですが、不動産登記上、法人格のない民団の所有物として登記できなかったからです。先ごろ名義者のうちA氏が死去し、A氏の相続人B氏から持分の所有権を主張されています。今後も想定されるこのような問題を排除し、不動産等を民団の民族財産として永続的に所有できないでしょうか。
A ①解決策は中央へ
新会館の建築当時の事情を知らない名義人遺族から、所有権の問題を提起されるこのようなケースは全国で見受けられるようです。民団中央では創団以来、全国にある会館の所有権移転問題について、具体的な解決事例を集積していますので、早急に連絡の上、組織的に対処していくことになります。
また、このような問題が起こる前でも、事前の対策案が以前に中央から公文示達されていますので、その方法を参考に名義人の生存中に対処するのが望ましいでしょう。
②法人化
民族財産の保全運用は民団の積年の課題です。民団中央では、民族財産を保全するために法人所有にする方法を従前より研究しています。法人化するには、①民団全体を韓国もしくは日本において法人化②地方本部又は支部を法人化③民団とは別の法人を設立するなどがあります。しかし、全国化(例えば「21世紀財団」設立)にはさまざまな障壁やデメリットが考えられるため、本部や支部単位で別法人を設立する場合が多いようです。福岡県本部が財団法人、神奈川や新潟県本部がNPO法人、岡山の倉敷支部などが地縁団体として、法人を設立しています。
法人化する場合、その法的区分としては①公益法人(社団・財団)②NPO(特定非営利活動)法人③中間法人④医療・社会福祉法人⑤商工組合⑥地縁団体などの法人格があります。
③非営利法人税制の動向
同胞老人ケアホーム運営をも視野に民団とは別に法人を設立することが多くなると思われますが、今後は、日本政府税調が改正の動きをみせている「非営利法人制度」税制の動向が注目されるところです。現行、公益法人など「会費や寄附金の非収益事業は原則非課税、収益事業33業種のみ課税」の枠組みとなっていますが、税制転換後は、原則課税で、「共益目的」なら会費収入を免除する内容になる方向であるといわれております。
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*略歴 イ・ミョンス。1958年下関生まれ。青年会中央副会長などを経て税理士の資格取得。李明守税理士事務所℡092-415-3111。
(2005.08.17 民団新聞)