掲載日 : [2005-08-31] 照会数 : 9979
苦学の金武偉氏に奨学金…韓国教育財団
[ 奨学金を贈られる金さん(左) ]
国際法律家の夢後押し
韓国教育財団が昨年新設したロースクール(法科大学院)奨学生、第1号に京都生まれの在日3世で国際法律家を目指す金武偉さん(26)が選ばれ10日、韓国大使館首席教育官室で奨学金が贈られた。金さんは困難な家庭環境のなか、苦学を重ね6月20日、ボストン大学ロースクール課程の合格証を手にした。
金さんは96年に渡米、現地の高校2年に編入した。親類を訪れては50万円、100万円と学費のカンパを頼み込んでの留学だった。97年にはカリフォルニア州政府が認める「早期大学特別許可」に合格し、授業料の節約に努めた。
大学でも必死に単位を取り続け、UCLAの愛称で知られるカリフォルニア州立大学の国際政治学科に編入、3年間で卒業した。金さんは「逼迫する経済事情との闘いでした。のんびり学生生活をエンジョイすることなどできません」。
大学卒業後、実家が抱える借金返済のためいったん日本に戻った。「オモニ1人で切り盛りする飲食店の収入だけでは大学院への学費も借金返済も無理でした。米国から日本に帰り着いた時、私のポケットには10円玉と5円玉が一つずつだけ。文字どおりぎりぎり」。
01年1月、東京で外資系証券会社に就職し、給料を貯めて実家の抱えていた借金を返済すると勤務先に辞表を提出し、ボストン大学ロースクールへの入学を実現した。研究論文と書類審査だけだが、想像を絶する競争率だったという。
金さんには韓国教育財団から年間250万円、3年間で750万円の奨学金が支給される。
(2005.08.31 民団新聞)