掲載日 : [2005-09-28] 照会数 : 6424
郷里に奨学金30年…文昶煥氏 1300人巣立つ
[ 文昶煥氏 ]
【大阪】在日同胞の文昶煥さん(74)=民団大阪・城東支部副団長=は郷里の釜山市東莱に個人奨学会を設立、文氏一族に奨学金を支給している。今年で31年目に入った。この30年間に巣立った奨学生は1300人、支給総額は2億ウォンを超えたという。
釜山に建ててあった工場を売却し、資金の運用を貧しさゆえに学校に行けない東莱地区の子どもたちの学費に充てたのが始まり。韓国がまだ経済的に振るわなかった75年のことだった。奨学金支給に賛同した地域住民が「聖庵奨学会」と名付け、運営も手伝うようになった。
文さんは3歳で来日し生野区猪飼野で育った。高卒後、日本の商社入社の際には英語の恩師が文さんの身元保証を引き受けた。26歳で独立した際には、銀行取引にあたって商社時代の社長が橋渡しをしてくれた。
文さんは、大阪市鶴見区で43年間、各種合成樹脂・押出成型会社を経営してこられたのはこの2人の「恩師」のおかげだといまでも感謝の念を忘れていない。「少しでも恩返ししたい」との気持ちが奨学会持続の原動力となっている。
現在の基金総額は1億ウォン。いまや学費に困る住民はなく、ソウル大入学者をはじめとする成績優秀者に年間50万ウォンを支給している。
今後は海外留学希望者にも支給していきたいという。
(2005.09.28 民団新聞)