掲載日 : [2005-10-05] 照会数 : 5457
第42回点字毎日文化賞 愼英弘教授が受賞
[ 愼英弘教授 ]
在日韓国人では初…研究と実践評価し
定住外国人障害者の視点から社会福祉の研究と実践に取り組んでいる愼英弘さん(58)=大阪市生野区、四天王寺仏教大学大学院教授=が05年度の「第42回点字毎日文化賞」受賞者に決まった。
同賞は視覚障害者の文化と教育・福祉の向上に貢献した人に贈られる。在日韓国人の受賞は愼さんが初めて。
研究面で特に大きな評価を受けたのは『定住外国人障害者が見た日本社会』(93年)と今年7月に発刊された『盲聾者の事実と社会参加』。
前者は無年金と教育環境の問題を取りあげた。年金が無く経済的に困窮したこと、普通学校には点字教科書がなく、視覚障害者が学ぶうえで大きな困難が伴うことを指摘した。後者は日本全国で統計上1万3000人を数える盲聾者の社会参加の必要性を訴えたもの。
「昔は(録音)テープを買うお金もなかった」。本は図書館で目録から選び、これはと思うものをボランティアの音読の助けを借り、それを点字にしていく。学生時代は5人の学生に交替で2時間ずつ計10時間読んでもらったという。
大阪市立盲学校を卒業後、龍谷大学経済学部を経て大阪市立大学大学院生活科学研究科博士課程を修了した。「われわれの時代、大学に行くのは10年に1人いるかいないかだった。進学するのはものすごい決心だった」という。
いまは「視覚障害者の先覚者になれたことがうれしい」と静かに受賞の喜びをかみしめている。
(2005.10.5 民団新聞)