掲載日 : [2005-10-05] 照会数 : 8140
祖国の地で安らかに…第30回望郷祭
[ 民団関係者の胸に抱かれ祖国に戻った遺骨=9月29日、金浦空港 ]
祖国の地で安らかに 無縁仏56体を合同納骨…第30回望郷祭
【ソウル】日帝の植民地時代に強制連行や徴用などで犠牲になった同胞らの遺骨56体(神奈川41、福岡13、長野1、富山1)が9月29日、苦節を経て故郷の土を踏んだ。
金浦空港に到着した遺骨は、民団関係者らの胸に抱かれてただちにソウル市内の曹溪寺に向かい、同寺で追悼慰霊祭が執り行われた。翌30日の早朝、読経に送られた遺骨は天安市の国立望郷の丘へと移され、第30回望郷祭に臨んだ。ここにはまた、76年の完工以来、納骨した同胞遺家族ら300人が参席した。
民団中央本部の金宰淑団長は、「夢にまで見た祖国の安息所です。鬼籍に入られた旧友と再会を果たし、これまでの苦難をすべて忘れて安らかにお眠り下さい」と語りかけた。
長野から移葬された遺骨は、松代大本営地下壕工事で亡くなった同胞のものだが、本名も本籍も不明とされている。本人が特定できない遺骨を望郷の丘に安葬するのは異例のことで、民団がこの間進めてきた不慮の死を遂げた犠牲同胞の遺骨の調査・収集作業が報われることになった。
在日2世の舞踊家・金利恵さんが死者の魂を慰める「鎮魂アリラン」を踊った後に、無縁仏合同納骨式が執り行われた。保健福祉部の宋在聖次官は追念辞を通じて「先烈らの愛国の心がなかったら、今日の発展した祖国はなかった。わが国の若い世代が引き継がなければならない精神だ」と述べた。
この日はまた、第30回望郷祭を期して、遺家族らの親睦と交流を図る「家族会」が発足した。役員人事は事務局に一任された。また、民団岡山県本部の崔南龍さんから「同会の事業に役立てて」と50万円が寄付されたことが報告された。
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日本政府通告 遺骨868人分確認
韓国側さらに調査要求
第2次大戦中に日本企業に徴用・雇用されて死亡した同胞の遺骨868人分が全国の寺院などに仮安置されていることが、このほど明らかになった。日本政府が9月28日、外務省で開いた第2回韓日審議官級協議の場で韓国側に伝えた。
調査結果によれば、徴用企業およびそれ以外の団体から147人分、自治体から721人分の遺骨情報が寄せられたという。ただし、ここには寺院の調査結果は含まれていない。
今後は遺骨の保存状態を確認するため、両国政府担当者で早急に現地調査に入る。
韓国政府の日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会の崔鳳泰事務局長は「日本側は死亡経緯だけを明らかにしているが、連れて行かれた経緯も明らかにしてほしい。それが死者への礼儀ではないか。調査結果への評価はまだ時期尚早だ」と述べた。
(2005.10.05 民団新聞)