掲載日 : [2005-10-19] 照会数 : 4632
<兵庫版>年金受ける権利あきらめないで…26日に説明会
計算は複雑ですが、きちんと手順ふめば、相当額受け取れる例も
民団兵庫県本部では10月26日(水)午後6時から、兵庫韓国会館5階中ホールで在日同胞のための年金セミナーと相談会を開催する。
国民年金には当初国籍条項があったため、在日韓国人は加入できなかった。1982年に国籍条項は撤廃されたが、この時点で35歳以上の人たちは、やはり加入することができなかった。
86年に国籍条項は完全撤廃されたが、中高年の人たちには、もはや支払い期間もあまり残されておらず、たとえ加入したとしても支給額が低額となる見込みであったため、多くの人たちが加入を見送った経緯がある。このため、在日同胞の多くは年金に関して関心が薄いのが実情である。
しかし厚生年金は以前から国籍にかかわりなく、強制的に加入することとなっていたため、同胞であっても有限会社や株式会社のような法人化された事業所で働いていた場合等には、たとえ短期間であっても給料から厚生年金の保険料が支払われていることがある。
また、学校を卒業して短期間働き、その後、結婚して専業主婦となったような場合、夫の扶養家族であった期間が年金に加入していたと計算されることもある。さらに、ケースによっては遺族年金が受給できる場合もある。あるいは、いくつかの職場で働いていて、その度に年金手帳を作り直していたり、職場ごとに使っていた姓名が異なっていたり、さらには厚生年金と国民年金の両方ともそれぞれ加入期間がある場合などはすべて合算できるのに、そのことを知らずにいることも相当あると思われる。
一方、日本である程度の期間働いたのちに韓国に帰国した人で、年金に加入していた期間が一定期間以上の場合は、外国に住んでいても年金を受給することができるか、受給できなくても申請により一時金を受け取ることができる場合もある。このように年金制度は極めて複雑で、ケースごとに取り扱いがかなり異なり、そのうえ、在日同胞は特殊な例が大半を占めると考えられることから、専門家によらなければ理解が難しいのが現状である。
しかし、計算や手続などは複雑なもののきちんとした手順を踏めば、相当額の年金を受給できることも少なくないと予想される。
民団兵庫県本部では、従来から無年金同胞高齢者・障害者の福祉給付金の問題に取り組み、年金制度から完全に排除されていた同胞高齢者・障害者にも日本人と同等の給付が受けられるように、強力な運動を展開してきた。運動の甲斐あって現在、日本人と同等の給付まで、あと一歩のところまできている。
しかし、一方で同胞中高年が日本人に比べてあまりにも年金に関心がない、という事実も浮き彫りになった。そのため、制度や手続の複雑さともあいまって、年金が受給できるのに受給していない場合も相当あるのではないかと考え、今回の年金説明会・相談会を企画した。
説明会の講師は社会保険労務士の高龍弘氏(本部権益擁護委員会常任委員)で、高氏は年金や社会保険の専門家であるが、自身が神戸市の同胞密集地で生まれ育ったため、同胞の生活実態に詳しく、説明会の参加者や相談者にとっては、的確なアドバイスが期待できるものと思われる。
権益擁護委員会では「権利の上に眠るものは保護せずとのことわざもある。同胞は権利獲得には熱心だが、せっかく手にした権利は無駄にせずぜひ行使しよう」と呼びかけている。
当日の参加費は無料。個別的な相談を希望する人は、年金手帳や年金証書、認め印などを持参すること。
詳しくは県本部民生部(℡078‐371‐3010)まで。
(2005.10.19 民団新聞)