掲載日 : [2005-11-09] 照会数 : 7804
国際自由都市に飛躍へ 来年7月 済州特別自治道
中央の権限を大幅委譲
済州特別自治道が来年7月からスタートする見込みだ。自治道になれば、外交と国防を除いた中央政府の権限が大幅に委譲される。国際自由都市を目指し大きく変貌する故郷に、在日同胞の期待もふくらんでいる。
故郷発展に在日同胞も歓迎
国務総理傘下の済州特別自治道推進委員会は基本計画である「特別自治道の設置及び国際自由都市造成特別法案」を確定、このほど上程した。国会で成立すれば、基礎自治団体は廃止され、1島1道の単一広域体制が実現する。
今年7月27日、済州道で4市・郡(済州市、西帰浦市、北済州郡、南済州郡)の存続を問う住民投票が実施された。現行維持の「漸進案」か、市・郡をなくし済州道を1つの広域自治団体にする「革新案」かをめぐる選択で北部と南部において対立したが、住民は「革新案」(有効投票の57%)を選択した。
この住民投票では永住権を持つ外国人にも投票権が与えられ、注目された。
基本計画は年間500万人の観光客が訪れる済州道を北東アジアの国際自由都市にしようとするもので、中央政府の権限が大幅に委譲される。16種類の地方税は自治道税に変わり、税率も自由に調整できる。
済州道型自治警察制を導入し、道知事が管轄するほか、治安行政委員会を設置して国家警察と協調体制を構築する。教育監を住民の直接投票で選び、教育委員会は道議会の特別常任委員会として設置する。
査証(ビザ)免除で訪問できる国を大幅に増やし、外国人滞在期間も現行の2〜3年から5年に延長する。大学を除いた外国人学校の設立も可能になり、韓国人も入学することができる。私立高校などは自主的な運営方法になる。
法人税が減免される投資事業は、観光や文化、シルバーなど現行6分野から教育・医療・IT(情報技術)・BT(バイオテクノロジー)などに拡大される。
一般小学校で英語による算数・科学の授業を来年から実施するなど、経済特区(仁川、釜山・鎮海、光陽)とあわせて済州道における英語の公用化も検討中だ。
済州道は「ようこそ!神秘の島 済州へ」をスローガンに来年を「済州訪問の年」に制定した。韓国ドラマの「オールイン」や「チャングムの誓い」のロケ地紹介に力を入れるなど観光客拡大を図り、国際自由都市に向けてはずみをつける構えだ。
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【在日同胞の声】
東アジアの拠点に
民団東京本部の李時香団長=これまでも済州道は何度か首脳会談の会場になったり、韓国では特別な地域だ。今回の特別自治道制の導入により、東アジアの政治・経済・文化の拠点として大きく発展するだろう。在日同胞の済州道出身者は特別自治道の実現に皆喜んでおり、明るい未来に期待している。
住民生活に配慮も
在日本関東済州道民協会の鄭平普会長=特別自治法に関しては7月の住民投票で信任を得たものの、特に南側の地域で反対者が多かった。知事の権限が強化されるので開発発展は加速するだろうが、半面、開発に力を入れるあまり自然など破壊される懸念もある。昔ながらのハラボジ、ハルモニたちの生活にも配慮した政策を進めてもらいたい。
道民一丸で推進を
関西済州道民協会の李永哲専務=特別自治法案に対する反対者も多かったが、決まった以上は道民が一丸になって推進してほしい。済州道は人口や財政面で全国の1%にも満たず、発展させるうえでさまざまな障害が多かった。特別自治道制の導入は飛躍するチャンスなので、その過程で生じる副作用を乗り越え、国際都市に向けて邁進すべきだ。道民会でも協力を惜しまない。
(2005.11.09 民団新聞)