掲載日 : [2005-11-30] 照会数 : 6503
<鶴見オリニ会>少数地域でものびのび仲間づくり
[ スタッフとともにノレチュムを楽しむオリニ ]
【神奈川】横浜市鶴見区を中心とする韓日重国籍の在日同胞子ども会「ツルミ(鶴見)オリニ会」(山本すみ子代表)が、今年で6年目に入った。この間、子どもたちは、元教職員らのボランティアスタッフに支えられて自らのルーツである韓国・朝鮮を大切にするようになり、心のひだを開きつつある。
オリニ会参加者は韓半島にルーツを持つ地域の3,4世の小学生10人前後。このほとんどが韓日の重国籍者だ。
横浜市内で在日は圧倒的な少数者。各学校で2ケタの同胞児童が在籍している学校は珍しいとされる。それだけにオリニは学校内でともすると孤立しがち。オリニ会は仲間づくりの場としても貴重だ。
オリニ会で子どもたちは韓国・朝鮮につながる「自分の中のチャンネル」を増やし、少しずつ自信を取り戻しつつある。
オリニ会は毎土曜日、横浜市立潮田小学校で開かれている。子どもたちは「アプロ」や「カナタラ」「ノルティギ」などを歌い、踊りながら韓国語と韓国文化に親しむ。唯一の在日スタッフ、金正姫さんは、「歌いながらハングルを学習すると、あっという間に覚えてしまう」とびっくりしている。
年間のプログラムはハングル、ノレチュム、料理、工作、遊び、遠足など多彩。今年の1学期には工作でチャンスンづくりに挑戦した。なかにはベロ(舌)をつけたこだわりのチャンスンもあった。
スタッフの1人で潮田小学校元社会科教員の今本陽子さんは「大人たちはできないと反対したのに」と苦笑い。午後から開かれるチャンゴ教室にはオリニ会を巣立った中学生も加わっている。
ツルミオリニ会は、毎年9月に開催される「ヨコハマ・ハギハッキョ(横浜夏期学校)」を日常化しようと、潮田小学校を退職した山本すみこさんが中心となって99年4月に立ち上げた。市教委が91年に「外国人教育基本方針」を策定、在日韓国・朝鮮問題に取り組む教員が増えていたことも追い風になった。
市教委が「方針」を策定するまでは地域社会で「『川向こう』『線路から向こう』‐。それだけで通じちゃう差別の現状があった」と山本さんは明かす。自らの出自に自信の持てない在日の子どもたちは、学校でも居場所をなくしがちだったという。
しかし、オリニ会ができてからは、保護者やスタッフが直接教室に出向いて子どもたちと一緒に学習する機会が増えた。子どもたちは自信を持つようになり、イキイキした表情を取り戻しつつある。
山本さんは「これからも在日の保護者に学び、マイノリティーの子どもたちがのびのびできる学校空間を広げていきたい」と話している。
(2005.11.30 民団新聞)