掲載日 : [2006-01-25] 照会数 : 4836
キムジャンで在日理解の輪 婦人会静岡副会長
【静岡】静岡市在住の韓春烈さん(68)=婦人会静岡県本部副会長=は自宅を開放して毎年、近隣の主婦と一緒にキムチ作りを楽しんでいる。個人宅のため、収容できるのは13人が精一杯。小さな集まりだが、キムチ作りを通じて在日韓国人理解を広げている。昨年で10回を数えた。
自宅開放し年中行事に
つらい体験も笑い飛ばし
キムチを漬けるのは年末のキムジャンシーズンと決まっている。正月が近づくと誰からともなく「いつやるの」といった問い合わせが韓さんのもとに寄せられるようになった。韓さんは「いつのまにか年中行事として定着してしまった」と笑う。年1回だが、好評のため同じ年に2回やったこともある。
きっかけは韓さんが隣近所に手作りのキムチを配ったのが始まり。おいしさが口づてで評判を呼び、1人2人と韓さんのもとに「習いたい」と通うようになった。
韓さんから指導を受けてはや7年。最初のころこそ韓さん1人で下準備から始めていたが、最近は参加メンバーそれぞれの家庭で自前のキムチを漬けるまでに上達した。いまは各自、白菜の塩漬けを済ませてから持ち寄る。韓さん宅では一緒になって朝からヤンニョムづくりに精を出す。ワイワイガヤガヤ一緒になって漬けるのがなにより楽しみだ。
昼時には韓さん手作りの松の実粥やチャプチェをほおばりながら、韓国の話題で盛り上がる。こんな時、韓さんは努めて在日としての過去の辛い体験も笑いながら話すようにしている。参加者は「私たちの知らなかった話があったんだね」と、びっくりした表情で聞いてくれるという。
02年には静岡で行われた朝鮮通信使パレードに参加。昨年は参加者から有志を募り、初めて3泊4日の韓国旅行も実現した。独島問題が連日報道されているころで「韓国へ行くのは怖い」とちゅうちょする人もいたが、訪韓して韓国への理解が一層深まった。帰りにはロッテデパートの地下で本場のキムチを5、6㌔買い込む人もいた。
韓さんとは30年近いつき合いでメンバーの1人でもある山本梅子さんは「新しく仲間に加わりたいと話す主婦に今度は私が指導しています。若い息子夫婦も大好物です」と話す。韓さんの知らないところで確実に輪が広がっていることが分かる。
韓さんは「ささやかでも地域での交流をこれからも大事にしていきたい。在日への理解を深めてもらうには近隣の住民と仲良くすることがいちばん大事。体が元気なうちは続けていきたい」と話している。
(2006.1.25 民団新聞)