掲載日 : [2006-03-15] 照会数 : 7180
<金剛学園>併用授業が定着 小学校全科目で実施
[ 小学校3年生の算数、円周率の授業風景 ]
在日は韓国語習得、駐在員子弟も日本語理解
【大阪】韓国語と日本語の両言語を同時に併用する授業が、大阪市西成区の金剛学園(高基秀理事長、 平海校長)で行われている。在日同胞児童は早い段階から肌で韓国語を吸収し、本国の児童も不慣れな日本語に自然な形で慣れ親しむという効果が確認されている。評判を呼び、ここ数年は他校からの転入も増えてきた。
併用授業は小学校の全カリキュラムに及ぶ。ある日の算数の授業では、張英子教諭が「何ができますか」と日本語で質問し、同じ質問を韓国語で繰り返していた。児童が日本語で答えると、張教諭がすかさず韓国語で復唱する。試験問題も日本語と韓国語の併記だ。
ある在日の児童は「算数の時間に韓国語で説明してもらうと、算数の勉強だけでなく、韓国語の勉強にもなっていい。数字も自然に韓国語で聞き取れたり、言えたりできるようになりました」(小5)と感想を記している。
駐在員の子弟には日本語の学習効果が高い。日本語がぜんぜん分からなくて不安だったというある児童は「日本語の意味も韓国語で説明してくれるのでありがたい。日本語で会話ができるよう頑張ります」(小5)と意欲的だ。
休憩時間の双方の会話は韓国語と日本語が一方通行で行き交う場面が多いが、聞き取りができるためか意思疎通はスムーズにいっているという。
金剛学園が他の韓国系民族学校に先駆けて併用授業を採用したのは01年から。この年、韓国語の授業も全学年で週4時間から7時間に増やした。
併用授業は教える側の教師の負担が大きい。教科書の内容を韓国語に直訳しても、韓国の教科書に出てくる言葉とは微妙にニュアンスが違うためだ。あらかじめ韓国の教科書にあたり、下調べをしておく予習が欠かせないという。
朴喜子教頭は「教師たちは教材の予習のため、従来の2倍も3倍も努力している。子どもたちのためにと、日本人教師も併用授業に取り組んでいる」と話す。
中学校以上では上級学校への進学を控えているため、併用授業は必ずしも徹底していない。しかし、毎週火曜日と金曜日は全校あげて休憩時間にも韓国語を使う日と決めている。高校では英語の時間に韓国語との併用授業を行っている。
京都国際中高等学校の李虎雄校長は「本校は日本語を理解する生徒が多いので、金剛のような併用授業はすぐにはできないのが残念だ。でも、英語だけは韓国語との併用で授業していきたい」と話している。
(2006.3.15 民団新聞)