掲載日 : [2006-04-19] 照会数 : 6377
徴用遺骨で草の根協力 市民団体が実行委、民団・総連からも代表参加
韓国の遺家族招請 東京、北海道などで集会
7〜8月
韓日両政府の懸案事項の一つとなっている徴用犠牲者遺骨問題の解決に向け、日本の市民団体が韓国から犠牲者遺家族を招請することを計画している。各地の集会で遺家族自らの肉声で遺骨返還をアピールしてもらい、今後の運動に弾みをつけていきたい考えだ。市民団体には民団と総連の代表も加わり6日、第1回全国実行委員会を東京で開催した。
日本政府と交渉も
韓国から招請する遺族については約30人が候補に上がっている。今後、韓国の「日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会」とも協議して招請対象者を絞り込み、全国実行委員会が7月から8月にかけて東京や北海道などで開く集会に招く。
全国実行委員会第1回会議には各市民団体代表のほか民団側から李鐘太民生局長、総連側から東京本部の朴潤基副委員長ら21人が出席した。徴用韓国人遺族の招請で日本の市民団体と民団、総連両団体関係者が協力しあうのは極めて珍しい。これは真相糾明委の全基浩委員長が訪日した際、東京で各団体の代表と意見交換するなかで実現した。
協議の結果、東京集会は7月29日、千代田区の星陵会館で開くことが確定した。開催の前日には院内集会や対政府交渉も予定している。
北海道では地元市民団体「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」を中心とする実行委員会が8月18日から21日までの3日間、旧日本陸軍浅茅野飛行場建設工事で犠牲となった同胞の遺骨発掘作業を宗谷郡猿払村で行う。このため、集会は翌22日に発掘報告集会と現地追悼会を兼ねて行う。
このほか7月30日から8月25日までの間、大阪など各地で地域集会が開かれる見込み。
第2次世界大戦中に日本企業に徴用された後に死亡した韓半島出身者の遺骨調査は、独島問題などで冷え込んだ韓日関係の改善を狙って05年、両国外交当局が合意した。
日本側はこれまで全国の企業と自治体への調査を通じて868人分の徴用遺骨を確認できたとしているが、13万5000件に上るとされる真相糾明委員会に寄せられた韓国側被害申告数とは大きな隔たりがある。韓国人1万人以上を雇用していた麻生炭鉱ですら遺骨に関する資料を提出していないのが現状だ。
昨年11月にソウルで開催された「朝鮮半島出身旧軍人・軍属および旧民間徴用者等の遺骨に関する第3回韓日協議」では韓日共同の遺骨実地調査の着手で合意したが、その後の実務者協議では具体的な計画を立てられないでいる。遺骨返還を求める犠牲者遺族の訴えが事態打開の糸口となることが期待されている。
(2006.4.19 民団新聞)