掲載日 : [2006-07-05] 照会数 : 6446
東京韓国学校 在日同胞教員増員へ
理事会が方針決議 永住生徒2割も
東京韓国学校(孫性祖理事長、尹已淑校長)は6月27日の理事会席上、在日同胞教育改善のための提言を採択した。提言に基づき、理事会主導で在日同胞教員の増員に取り組み、今後数年以内に在日同胞生徒のための教育環境の再整備と改善に取り組んでいく。だが、本国生徒が圧倒的多数を占め、定員も満たしている現状だけに、理事会と学校側の間にはかなりの温度差が感じられる。
学校側は対応冷ややか
理事会の狙いは駐在員の子弟と日本語を母語とする特別永住者および定住者、両者の中間ともいうべき韓・日語混用の定住者が混在し、それぞれが相互補完的に相乗効果を発揮するような教育課程と学校運営だ。そのため04年の同校開校50周年を期して理事会と学校が協議し、中等部で日本語を主要言語とする在日生徒については主要5教科を日本語で学べるカリキュラムを改めて設定、03年から在日生徒募集活動を展開してきた。
ところが今春に入って新たに「英語による英語授業」が導入され、その中で韓国語を多用する教師がでてきた。能力別クラス編成のため、少数の在日は軽視されたようだ。教科書も日本の教科書ではなく韓国のものを使用している。来春、都立高校受験を控えている3年の在日生徒らは5月の中間試験で成績ががくんと落ちた。中間試験の成績は内申書に反映されるだけにハンディキャップとなる可能性も。この生徒らが「約束が違う」と学校側に訴えたことから明らかになった。
事態を重く見た2人の常任理事が「一部約束が破られている」と、中3の英語について日本語による授業と中間、期末試験救済措置を尹校長に迫った。しかし、尹校長は「英語による英語授業は今年からの学校の方針。それを変えるのは難しい」との立場を表明。代案として土曜日に補習授業を1、2時間行う考えを明らかにしているが、理事会からは「まず生徒にわかる授業をやるのが先。本末転倒ではないか」という声も聞こえてきた。
郭盛烈中・高等部教監によれば、同校専任教員は44人。このうち在日同胞は1割の5人にしか過ぎない。「韓国語で授業するのが民族教育」という派遣教師に対して在日同胞教員が数の上でも圧倒的に不足していることは疑いようのない事実だ。
このほか民族教育観の違いも透けて見える。ある教員は「在日同胞だけを集めて授業をするのは塾のようなもの。この学校に入ってきた意味がない」という。これに対して在日生徒の募集の先頭に立ってきた理事会側は「中等部は義務教育。生徒にわからない授業をして半分を脱落させるのが教育か」と憤りを隠さない。
金総領常任理事は「幸い、崩れているのはごく一部。これから学校側とよく協議していきたい」と話している。
現在東京韓国学校で学ぶ特別永住者は66人。全生徒数896人中1割を切っている。理事会では今後数年間で2割台(180人)に引き上げることを目標としている。
(2006.7.5 民団新聞)