掲載日 : [2006-12-06] 照会数 : 6574
世界韓民族農業人ネットワーク化(下)
同質性基盤に国別支部 双方向で事業利益を…金完培 ソウル大教授
ネットワーク構築のための前提条件は、すべての参加者が共感しうる目標の設定はもちろん、特定の者だけでなく全参加者が利益を得られる具体的な事業を推進することだ。ここでの利益とは、経済的なものだけでなく、心理的な満足感なども含まれる。
民族教育も必須
海外同胞の場合、世代が下がるにつれ母国の言語や文化に疎くなり、民族的連帯感が希薄化する可能性が高い。したがって、後世に対する韓国語教育や文化と触れあう機会を提供する配慮も望まれよう。
ネットワークの堅固な基盤を築くには、中央組織のみならず、国別・地域別の海外支部組織が活性化されなくてはならない。
海外同胞が居住する国・地域は、社会・経済・文化的な側面で同質性を有する単位なので、地域内の同胞もまた互いに親近感や連帯意識、同質感を有している。この海外支部を基礎に中央組織を構築してこそ、はじめて内実性と永続性を兼備した農業人ネットワークとなるであろう。
韓国政府は海外同胞の組織を経済的・行政的に支援しており、在外同胞財団は外交通商部が、世界海外韓人貿易協会は産業資源部が、在外同胞教育振興財団は教育人的資源部がそれぞれ管掌している。農業分野に従事する海外同胞の役割を正しく認識するならば、この組織化は農林部と農水産物流通公社が積極的に担うべきだと考える。
実現への道
まず、政府や農業・学界・海外同胞などの代表で構成された「韓民族農業人ネットワーク準備委員会」(仮称)を発足すべきだ。準備委はネットワーク組織の形態(財団または社団法人)、組織体系(代表、分科委員会、海外支部)、事務局、財源調達方案などを準備しなければならない。同時に、海外同胞の代表が支部結成を進めるべきだ。
財団法人の形態をとり、設立初期には若干名の事務局スタッフが業務を担当するが、規模の拡大にあわせて少なくとも4業務領域(企画情報室、経済事業部、交流事業部、教育・文化事業部)に区分すべきだ。事務局は、農産物輸出との関連から農水産物流通公社のaTセンター内に設置することを提案したい。
事務局は全世界に散在する韓民族農業人に関する個人資料を収集し、データベースを作成する。この事業は現在、在外同胞財団が推進する在外同胞財団百科事典編纂事業と連携して行えば、効率的に推進されるだろう。あわせてネットワークのホームページを作り、全世界の韓民族農業人とのインターネットを構築する。新しい情報を事務局に集め、総合分析したのちには、母国の農業および市場、新たな農業技術、農業政策などに関する情報を海外へ送る。
共生の道開こう
以上の基礎作業が進めば、準備委員会と事務局は「韓民族農業人大会」の開催に着手する。これは総会と同じ性格であり、「韓民族農業人ネットワーク」の公式的なスタートとなる。同大会は海外同胞財団の支援を、子弟に対する教育事業は在外同胞教育振興財団の支援を受けることになる。
また農業分野別、例えば農業生産、農産物流通、農産物貿易、食品加工などの分野別に一種のCEOフォーラムを設け、同質性の強い小集団活動を促進させる。
躍動性あふれる韓民族は、資源貧国の中でも急速な経済発展を実現してきた。母国の農業条件が厳しいとは言っても、これ以上に困難な逆境を打開してきたではないか。韓民族農業人の有する潜在力を一堂に集めることができれば、母国の農業発展はもちろん、海外同胞もまた現地でこれまで以上に成功を収めることができ、共生の道が開けよう。未来の子孫のためにも皆が力を合わせて前進しよう。
(2006.12.6 民団新聞)