掲載日 : [2006-12-20] 照会数 : 8590
「時調」新人文学賞 在日2世の金一男氏
韓国の「時調生活」社が主管する第69回新人文学賞に、在日同胞2世の金一男氏(写真。本紙「韓国詩歌春秋」編者)が選ばれた。受賞作は「晩秋の叙情」で、きちんとした構図と節制の美学が優れていると評価された。
受賞の知らせに「韓民族の優秀な文学の一つのジャンルである時調を、日本はもとより世界各国に広げていきたい」と決意を新たにした。
金氏は44年神奈川県生まれ。早稲田大学第1文学部史学科を卒業。大阪韓国学校で鞭を取った後、東京韓国学校で常任理事を歴任した。
また、在日同胞らと「時調(三行詩)の会」を設立して、韓国時調の普及に努めてきた。時調は高麗中期に生まれ、高麗末に完成した文学形態で、朝鮮朝を経て今に継承された民族固有の定型詩。
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晩秋の叙情
ひえびえと晩秋が芒(すすき)の穂をゆする
なぜ母上の荒れた手が偲(しの)ばれるのか
涙に愛をとかしてその人生を描かれし
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師走の陽ざしを分けてたずね来る冬に
紅葉は散り敷きながら風の道を開く
今や遠き山にて雪支度しきりなれ
(2006.12.20 民団新聞)