掲載日 : [2007-03-14] 照会数 : 9364
韓国初の記録集「望郷歌」 在外同胞財団の企画で出版
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在日100年 写真が訴える歴史
在日韓人歴史資料館も協力
在日同胞が日本に渡ってから100年もの歳月が経った。しかし、韓国国内では在日同胞が玄海灘を渡った歴史的背景はおろか、日本での暮らしぶりや在日の置かれた状況などを積極的に知ろうとしない事実がある。
先月28日、在外同胞財団企画の写真集「分断の境界を崩す二つのザイニチの望郷歌=在日韓人100年の写真記録」(現実文化研究刊・韓国語)が韓国で発刊された。これまで韓国には在日同胞の暮らしに関する記録はほとんどなく、ましてや在日同胞の歴史を扱った写真集は韓国をはじめ、日本でも出版されたことがないため、両国にとって非常に大きな意義を持つものとして注目されている。
この写真集には04年11月、東京・港区に開館した在日韓人歴史資料館に保管されている写真が多数、収録されている。日本全国を回りながら資料を収集し、100年におよぶ在日同胞の歴史を視覚的に再現したのがカメラマンの安海龍さんだ。 「2年前に東京で開かれた民団フェスティバルのときに写真展を見ていた。今回、在日韓人歴史資料館に資料の提供を要請したところ、惜しみない協力をしてくれた。この資料がなかったら、写真集の出版は困難だっただろう」と語る。
また在日のカメラマン、昭さんには日本の戦争責任と戦後補償問題に関する写真資料の協力を得たうえ、民族学校関連資料も京都韓国学校などの各機関に提供してもらった。
写真集では「関釜連絡船」に乗船して日本に渡る同胞の姿をはじめ、内鮮一体強要、戦時体制強制動員、光復と帰国、在日朝鮮人連盟結成、民族教育、外国人指紋押捺拒否運動など、在日同胞の歴史が一目瞭然で確認できるように整理されているうえ、自分のアイデンティティーを絶え間なく模索してきた、在日同胞の苦悩を綴った文章なども盛り込まれている。
この写真集の出版で韓国政府は改めて在日同胞の歴史に関心を持ち、過去の資料整理に取り組みはじめたという。
米洲韓人移民史 写真記録も刊行
なお在米同胞の歴史を収録した「100年を鳴らしたゲルリック号の鼓動音−米洲韓人移民史100年の写真記録」(韓国語)も同時刊行された。在日同胞編(価格3万5千ウォン)、在米同胞編(価格3万5千ウォン)。問い合わせは現実文化研究(℡ソウル02・393・1125)。
(2007.3.14 民団新聞)