掲載日 : [2007-03-28] 照会数 : 7205
「心の叫び」を聞く 韓・日学生らが同胞元戦犯囲む会
[ 名誉回復と補償実現を訴える李鶴来さん ]
歴史資料館で
韓国・朝鮮人元BC級戦犯者「同進会」(李鶴来会長)から在日韓人歴史資料館に寄贈された膨大な資料の分類・整理にあたり、約8カ月間にわたって名誉回復を求める元戦犯の「心の叫び」に耳を傾けてきた韓・日学生ボランティアが18日、当事者と念願の対面を果たし、話を聞いた。
資料館セミナー室で開かれた「李鶴来さんを囲んで語る会」には同胞と日本人の学生ら30人が参加した。専攻が社会科教育や現代日韓関係という専門学生もいれば、講演内容や韓国・朝鮮に興味があったという参加者もいた。
だが、いわれなき戦犯とされた無念の思いを当事者の肉声で受け止めたいという切なる思いを抱いて集まった点では一致していた。企画した学生の一人は「過ぎ去った過去の問題とせず、私たち若者が生きた記憶装置として語り伝えていく事が大切」と呼びかけた。
李鶴来さんは孫のような世代を前に、BC級戦犯に問われた仲間たちの不条理と自身の苦悩の胸の内を静かに語った。60数年間も日本政府に名誉回復と補償を求めて裁判に訴えるなど怒りを持続してきたことについて、「刑死や精神異常をきたして死んでいった仲間たちの恨をいやしてあげたい。これは生き残った者の責任だ」と一段と語気を強めた。
裁判支援者の一人としてレクチャーに加わった内海愛子さん(恵泉女学院大学教授)は、「当事者が俘虜監視業務にあたった熱帯の自然の厳しさは資料からだけではわからない」と、実際に現地に足を運んで追体験してみるようアドバイスしていた。
この日の「語る会」は予定時間を過ぎても学生参加者からの質問が途絶えることなく、懇親会に移ってからも李さんを取り囲む輪ができていた。
学生たちが分類・整理したBC級戦犯資料は近く資料館で特別展示される。
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BC級戦犯とは
敵兵・捕虜に対する非人道的な扱いや民間人に対する殺戮などを禁じたジュネーブ条約に違反した者が対象。捕虜監視員として南方に派遣された韓国人は「俘虜(捕虜)は1日といえども無為徒食せしめることなく労役に利用する」との旧日本軍の教えを忠実に守った。その結果、129人が有罪となり23人が死刑となった。ジュネーブ条約についてはその存在すら知らされていなかった。
(2007.3.28 民団新聞)