掲載日 : [2007-12-05] 照会数 : 10606
手づくり〞民族学級〟 「神戸オリニマダン」開催10年
[ 蓮池小学校での第10回オリニマダンから(2日) ]
【兵庫】神戸市内の小学生たちが集まって、韓国の踊りや文化などを発表する「神戸オリニマダン」(「神戸在日コリアン保護者の会」主催)が今年で開催10年目を迎えた。韓国語や歴史、自分のルーツを知ることで、在日の存在=自分の存在を認識し、問題意識をもってもらいたいと奮闘してきた同胞父母会の歩みを振り返ってみた。
保護者の願い結実
「神戸在日コリアン保護者の会」は「言葉や民族のことを教えてくれるところはないのか」「子どもを本名で行かせたいんだけど」と、いろんな悩みをもった在日同胞保護者の集まり。94年に発足した。翌年には市内の小学校に通う在日同胞の子どもたちに言葉やチャングなどを教える民族教室「オリニソダン」(子どもの書堂)を開設。毎週土曜日、地域の小学校の教室を借りて保護者の会が運営してきた。
「ソダン」は開設したものの当初は指導者もなく、決まった教室もなかった。「どう運営していけばいいのか手探りで大変でした」と金信代表は振り返る。でも、続けてこられたのは毎週熱心に通ってくれる子どもたちのうれしそうな笑顔だったという。04年には長田区にある蓮池小学校で同校及び近隣小学校に通う同胞のために「蓮池オリニソダン」を開設し、現在も運営している。
「ソダン」から発展
「オリニマダン」は「ソダン」で学んだ子どもたちの発表の場として98年、蓮池小学校で第1回が開催された。子どもたちの無邪気でのびのびとした姿に保護者からは「ソダンに通わせてよかった」「子どものうれしそうな顔がなにより」という声が金代表のもとに届いた。
金代表は「神戸は大阪と違って民族学級というのがない。唯一、このオリニマダンがそれにあたると思う」と胸を張った。神戸市教育委員会でも開催の12月が近づくと、市内の小学校に案内チラシを持参するなどして後押ししている。第1回マダンに参加した朴佳也さん(大学3回生)は、中学入学時から本名に切り替えた。昨年は韓国に交換留学した。朴さんはこのマダンでの経験が今の自分につながっているという。
〞卒業生〟も共演
2日、蓮池小学校で開催された「第10回オリニマダン」には、市内の公立学校に通う子どもや地域住民ら約800人が訪れた。体育館では扇の舞やプンムル(農楽)、合唱などが披露されたほか、オリニソダンを卒業した中学・高校生らがサムルノリを演奏し、大きな拍手が送られた。午後からは、各教室に分かれて、キムチ作りやチャンゴの実演、チマ・チョゴリを試着しての記念撮影などが行われた。また、保護者たちが手作りのビビンバを600食用意したが、瞬く間に売り切れるなど人気を呼んだ。
(2007.12.5 民団新聞)