掲載日 : [2008-07-30] 照会数 : 8510
<兵庫版>民団本部会館移転から1年
[ 白永煕団長 ]
白団長が抱負
自立への基盤築く
昨年8月に本部会館を神戸市長田区に移転してちょうど1年。白永煕団長に移転の経緯と、今後の新会館活用に向けた抱負などを聞いた。
−−旧本部会館からの移転と収益物件の購入によって、本部としての財政基盤の安定が図られたと考えていいのか。
白 新会館のへ移転実現は、歴代役員の尽力と各支部、そして傘下団体役員らで構成する再建委員会に皆さんの協力をいただいたことが大きい。なによりも、兵庫県下同胞の思いが結実した成果であると、大変感謝している。
私が1期目に就任した直後、旧会館内の立体駐車場の一部が崩壊するという事故が起きた。幸い人身事故には至らなかったが、「本部会館をなんとかしなければ」と決意した。その決意に皆さんが共鳴してくれた。
収益事業が必要
ただし、収益物件を購入したといっても、これで財政問題が解決したわけではない。これはあくまでもタネ火のようなもので、民団が自立するためには本部、支部自らが収益事業を行う必要がある。
長年民団を支えてきた同胞1世、2世は減り続け、団費の集金もままならない。時代のすう勢で若者の数も減っていくだろう。本部直営で保険事業を始めたのは、そのような危機意識があったからだ。保険収益が民団運営の一助になればと、力を注いでいる。
−−来年の地方大会に向けて、選挙人制度を導入していこうとの議論が進められているが。
白 民団がいま一度私たちの支持母体である同胞に目を向け、すべての同胞に支えられる組織になるためにも選挙人制度を導入すべきだと考えている。
民団は発足当初、韓国政府を支持する同胞の相互扶助的、共同体的な組織だった。しかし、その後、旅券・戸籍業務に重点が置かれるようになってから組織が肥大化し、団費を収めているにもかかわらず「民団員5人で1票」程度の同胞の声を十分反映できない組織になってしまった。組織が危機的状況にある今だからこそ、同胞間の相互扶助という組織の原点に立ち返る必要がある。
−−地方大会のあり方を変えただけでは「団員離れ」という時代のすう勢は抑えられないのではないか。民団員の中で意識の高い現在の代議員が集い、組織を運営するのも一つのあり方という意見もある。
同胞の声反映へ
白 もちろん、選挙人制度がすべてではない。しかし一助にはなると思う。
確かに、同胞社会への貢献意欲が高い代議員が運営する組織も一つのあり方かもしれないが、実際は、大会成立のために過半数を集めているという本末転倒の姿になっているのが現状だ。これでは同胞社会の意見を反映しているとはとてもいえまい。
米大統領選挙のように代議員を選ぶ選挙制度でもあれば別だが、やはり同胞社会と遊離している状況は否めない。もう一度、我々が同胞一人ひとりに呼びかけるという姿に持っていくべきだ。もちろん、はじめから選挙人制度がうまくいくとは思っていない。しかし、代議員制度よりも将来があると思う。
今年の本国支援金もかなり厳しい。おそらくあと数年でなくなるだろうと思う。それらを見越していま一度、私たちの支持母体である同胞社会に足を向け、各支部レベルで事業を活性化し、自立していかなければならない。
ふれあいの場に
−−新会館に移ってからは青商が定期的な集いを持ち、ハングル講座なども活発になって、従来より多くの若い世代が集い、韓国文化に触れる拠点になっている。
白 在日の若い世代が民族に触れあう場として民団があればいい。在日の古い世代は、「海外同胞の中でも在日は植民地時代の特殊性があり、特別な存在だ」という思いが強い。しかし本国から見れば、海外700万同胞の一部だ。これからの若い世代は本国の支援に頼らず、自立していくことの出来る組織を造っていかなければならない。
どんどん新会館を利用して、同胞が交流し、日本の方が韓国に触れることのできる場になっていければと思っている。
(2008.7.30 民団新聞)