掲載日 : [2008-08-15] 照会数 : 13166
建国60周年・第63回光復節 中央団長慶祝辞
民団中央本部団長 鄭進
先進・統一祖国へ邁進しよう
再び不屈の精神を
民団は内外結束の先駆に
親愛なる在日同胞と内外同胞の皆さん!
63年前の今日、わが民族は第2次世界大戦の結果、日本帝国主義による植民地支配から解放されました。わが民族が再び自由を取り戻した光復節をともに喜びたいと思います。
しかも、今年の光復節は米ソの角逐や民族内部の左右対立という激動のなかで、自由・民主主義を国是とする大韓民国を建国してから60年の大きな節目に当たります。わが民族の再生と国家躍進の起点となった意義深い日です。
民族史に大きな画期を記したこの日に際し、私は民団中央本部団長としてまず、躍進祖国の基礎を築いた愛国先烈たちの犠牲的な努力に感謝し、殉国英霊の冥福を祈ります。
同時に、その精神をこれからも決して忘れず、どのような障害があろうとも、活力に満ちた在日同胞社会を築き、わが国の先進化と南北民主平和統一の歴史的使命に真正面から取り組む決意を表明するものです。
在日同胞をはじめとする内外同胞の皆さん!
解放の喜びもつかの間、わが国は米ソ両大国の対立によって南北に分断されたばかりか、北韓の南侵によって同族相食む6・25韓国戦争まで強いられました。3年にわたる戦火は国土を廃墟にしただけでなく、300万人の人的被害と1000万人の離散家族の悲哀をうみ、その後遺症を今日まで引きずっております。
驚嘆すべき生命力
祖国分断という苦悩を背負い、それにともなう重い負担にあえぎながらも、私たちは決してくじけず、それぞれの時代的な課業に国民力量を集中してきました。内外国民は一体となり、時には国そのものが犠牲的な精神に満ちた一大運動体となりました。
世界の中でも最貧国の位置に置かれてきた韓国が、「ハミョンテンダ(なせば成る)」のスローガンのもとに経済建設に邁進し、「漢江の奇跡」と呼ばれる産業化を成し遂げ、今では世界10位圏に迫る経済大国にまで成長したのです。不死鳥のような生命力は驚嘆に値するものであります。
そればかりではありません。4・19学生革命をはじめとする大衆政治行動を通じて市民意識を啓発し、わが国が背負った前近代性を克服しながら、産業化の土台のうえに民主主義を根付かせてきました。このような韓国の60年間の歩みは、わが民族がいかに強靭で賢明な民族であるかを示し、新興独立諸国からは優れた発展モデルとして称賛されるまでになりました。
愛族・愛郷の心で
親愛なる在日同胞の皆さん!
私たちは建国60周年を迎える祖国と運命をともにし、自己犠牲をいとわず献身してきました。わが国の国力増進の中にこそ私たちの希望があり、わが国の国際的な地位が向上してこそ、私たちの浮かぶ瀬があると信じたからです。その根底にあったのは、旧支配国の地で特異な歴史を歩んでこざるを得なかった在日同胞の、望郷の思いであり、それと一体となった強烈な民族意識でした。
韓国戦争には学徒義勇軍として参戦し、存亡の危機に瀕した祖国を救う一翼を担いました。また、農村近代化のための「セマウル運動」への積極参与のほか、故郷での電気や水道などの整備、学校や橋の建設など、ゼロから築いた自らの資本と技術をわが国の発展のために進んで提供しました。
そのほか、韓国の威信を世界に示したソウル五輪をはじめ、各種の大規模な国際行事に際しての物心両面にわたる支援、「IMF外貨危機」の際の外貨送金運動など、常に本国国民と課題を共有しながら、国の発展に寄与してきた事例は枚挙に暇がありません。
在日同胞の歩みもまた、日本政府による差別政策や日本社会の偏見と闘う苦難に満ちたものでした。それは、私たちの生活権と人権を守る強靭さを示す歴史でもありました。そうした努力の主体となった民団は、在日同胞の指導団体として、確固とした立場を築いています。
民団を中心とする在日同胞社会と大韓民国は、有機的かつ密接な関係を築いてきました。過去60年がいかに輝かしくともそれに安住することなく、私たちは内外から提起される国家的・民族的な課題に対し、不屈の精神でこれまで以上に手を携えていかねばなりません。
わが国が経済的・政治的にもう一段飛躍するために、そして在日同胞をはじめとする海外700万同胞の安寧と繁栄のために、建国60周年を内外国民・同胞を結束させる契機としましょう。民団はその先頭に立つつもりです。
早期に地方参政権
親愛なる在日同胞の皆さん!
わが国と在日同胞社会に、数多くの問題が横たわっていることを踏まえながら、私は当面する課題について次のように訴えます。
第一に、韓半島の平和と安定のために、北韓が核兵器を完全に廃棄し、日本人拉致問題の早急な解決を図ることで、国際社会の一員として開放された国家になるよう求めます。また、こうしたことを通じて在日同胞社会の和合と交流の道を開かねばなりません。
第二に、一日も早く地方参政権を獲得しなければなりません。今年を地方参政権運動の最大の山場と位置づけている私たちは、国会への法案提出を当面の目標にしながら、多くの日本人市民とともに、不退転の覚悟で獲得に注力します。
地方参政権の獲得こそが、真の韓日共生を担保する道であります。全国規模で国会議員への要望活動を展開するなど、民団の全力量を投入します。
第三に、同胞経済の再生のために全力を尽くしましょう。日本の長期不況により、同胞経済が困難に直面し、主要産業である遊技業、飲食業、土木関連企業等が打撃をこうむっています。まず何よりも単位信用組合の資本強化、さらには統合を通して、同胞経済の大動脈である民族金融機関の経営基盤を固めなければなりません。
民団、韓信協、韓商連が一体となって、同胞既存企業の経営体力を強化し、起業努力を後押しする仕組みを整え、難局を打開していきましょう。
新たな不断の努力
親愛なる在日同胞の皆さん!
私は今、平穏無事をひたすら願うだけではよりよい未来を手にすることはできない、との思いを募らせています。
私たちは地方参政権獲得運動や在日同胞経済活性化を推進しながら、これらが在日同胞の人権と生存権に関わる問題であるにもかかわらず、国際的な環境に左右されてきたことを実感して来ました。北韓の対日威嚇や国家犯罪が障害となり、独島領有や歴史認識を巡る韓日摩擦が暗い影を落とします。
しかし、私たちは一方で、在日同胞の努力が国際社会レベルの高度な課題遂行に貢献するものであり、結局は私たちの環境改善につながることを知っています。
民団が掲げる平和と人道人権の尊重を第一義とする共生理念は、祖国と日本の発展に貢献しつつ、韓日善隣友好の実をあげるとともに、韓日紐帯を軸に東アジアの平和と安定に資するものです。その中核とも象徴ともなるのが地方参政権獲得運動です。祖国南北の民主的平和統一の推進も、韓半島を中心とした東アジアの恒久的な平和発展の鍵になるものです。民団は、国際社会の要求と合致する民団理念にしっかりと立ち、自己の使命に自信を持って突き進みましょう。
私は光復と建国の二つの歴史的節目に際し、北韓の破壊策動に耐えながらも、統一国家を視野に全民族の将来を支える国力を培った韓国と民団に、改めて誇りを覚え、ひとりでも多くの同胞が民団のもとに集まり、その同胞のエネルギーが民団のさらなる活力となるよう、最善を尽くしていきます。
終わりに私は、大韓民国の60年をともに歩んで来た在日同胞を代表し、李明博大統領が提唱する国民所得3万㌦時代の幕開けと、品格のある「先進一流国家」への飛躍に向け、本国国民とともに不断の努力を新たに開始することを誓うものです。
(2008.8.15 民団新聞)