在日のプライド 故国に咲かす
全羅南道一円で開催された第89回全国体育大会の閉会式が16日、麗水・鎮南競技場で行われ、7日間にわたる熱戦の幕を閉じた。在日同胞選手団はサッカー、テニス、ボウリングなどの海外同胞種目をはじめ、水泳などの一般競技と剣道の親善競技を含む10競技に出場し、金6、銀2、銅8の計16個のメダルを獲得した。金メダルは史上最多の記録だ。しかし、得点配分の関係で、17カ国の海外同胞で競う「海外同胞の部」では総合準優勝にとどまった。
開会式 堂々の行進
スカッシュ大躍進
大会2日目の11日、海外同胞の部スカッシュ競技の男女シングルスの決勝が行われ、女子シングルスでは徐華瑛選手が在ニュージーランド同胞にセットカウント3‐0の圧勝で優勝。在日同胞選手団に今大会第1号となる金メダルをもたらした。
また、男子シングルスでは、立命館大学4年生の金光宏選手が銀メダルを獲得。
スカッシュは参加国数が11カ国に増えるなど、大会のレベルが急上昇しているなか、在日同胞が大躍進を果たした。
お家芸テニス 見事に復活
男女とも「金」(左から)金淨泰、安栽亨、白華英、禹受延の金メダル選手
ここ数大会、不振が続いたテニスが華々しい復活を遂げた。男子は安栽亨・金淨泰の近畿大学コンビがシングルス、ダブルスともに金メダル。
女子では初参加となる東京女子体育大学の禹受延選手と亜細亜大学の白華英選手がダブルスで金メダルを獲得、男女とも金メダルを独占した。
韓国代表の夢
水泳の高校女子100㍍、200㍍平泳ぎの蔡知怜選手は、両種目とも銅メダルに輝いた。北京五輪でも世界第7位というスポーツ大国の韓国で、海外同胞選手が国内種目でメダルを獲得したのは2年ぶり。
大韓体育会の李衍澤会長は閉会式で「在日の女子が国内種目でメダルを獲得し感動した。海外同胞でも優秀な選手は韓国代表へと選出されるよう、経済的にも支援していきたい」と語った。
蔡知怜選手は高校2年生。今後の活躍では、韓国代表選手に抜擢される可能性が高まってきた。
背水サッカー「銅」
昨年まさかの予選敗退を喫し、背水の陣で望んだサッカー。予選リーグではサイパンや強豪のアメリカを下し準決勝へと進出した。準決勝の相手はこれまでも接戦を繰り広げてきた在ニュージーランド同胞。在日は終始押し気味に試合を進めたが、0‐0のままタイムアップ。PK戦で2‐3と敗れ銅メダルに終わった。
女子ゴルフも大健闘
近年、ニュージーランドやオーストラリアの進境著しく、苦戦を強いられているゴルフだが、愛知県から初参加した鄭美耶・早希姉妹の大活躍で総合3位の銅メダルを獲得した。
とくに愛知大学ゴルフ部に所属し、学生ゴルフ大会等でも活躍する鄭美耶選手は個人でも銀メダルを獲得、関係者の注目を集めた。
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触れ合いは大きな宝 「在日選手育成さらに努力」
羅団長
在日同胞選手団の羅基祖団長は、日本生まれの2世で、全羅南道の咸平郡が故郷だ。民団東京本部の監察委員長や道民会の会長も務めている。
羅団長は「選手が在日同胞代表というプライドを持ってがむしゃらにプレーする姿を見て、涙が出る思いだった。成績も大事だが、日本で生まれ育った同胞青少年には、祖国でプレーし、仲間と出会い、触れ合ったことが大きな宝物になる。今後、一人でも多くの在日青少年選手を発掘・育成し、母国の大舞台でプレーさせてあげたい。そのためにも体育会と民団が一体で最大の努力をしていくべきだ」と語った。
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孤児院へ慰問金
選手団役員 全羅南道に感謝し
在日同胞選手団の羅基祖団長と朴安淳在日体育会会長ら在日同胞選手団役員は、全羅南道咸平郡の児童養育施設「三愛院」に、激励金500万ウォンを託した。
咸平郡が故郷である羅基祖団長が、在日同胞選手団を温かく迎えてくれた全羅南道に何か貢献できる道はないかと考え、孤児院への慰問金伝達を決めた。選手団役員一人ひとりがポケットマネーからカンパし、恵まれない子どもたちのためにと寄せあった。
「海外の同胞が広報大使役を」
12年の麗水世界博 羅団長が呼びかけ
大会3日目の12日、朴瑩全羅南道知事主催の「海外同胞選手団晩餐会」に参加した羅基祖団長は、海外同胞17カ国を代表し知事への感謝のスピーチを行った。
そのスピーチで羅団長が「12年の麗水世界博に向けて、私たち海外同胞は各居住国で広報大使の役割を果たしましょう。そして、本日参席の皆さんも、ぜひ12年に再び全羅南道で会いましょう」と呼びかけると、会場は拍手喝采。朴知事も「ぜひ皆さんお越し下さい」とアピールした。
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各競技団体紹介
在日本大韓ヨット協会 会長・姜又石
本協会は1983年の創立以来、在日優秀選手の発掘と育成に力を注ぎ、韓国の全国体育大会(国体)に在日同胞代表選手を輩出して、88年には蔡鍾大・李国相組の470級一般部4位入賞や00年の鄭溶徹選手のレーザー級高校部銀メダルなどの実績を残している。
29回を迎えた釜関親善レガッタの創設・運営や、外洋レースのアリランレースの運営協力のほか、生涯スポーツとしてのヨットを普及するため体験行事なども行っている。
今後とも在日同胞選手の発掘・育成と在日韓国人ヨット愛好者のネットワーク作りを中心に、ますます増加するヨットを通じた韓日交流や国際親善をサポートしたい。
(2008.10.22 民団新聞)