掲載日 : [2008-12-11] 照会数 : 5321
<布帳馬車>北韓の「呪縛」から自由に
ワシントンからの報道によれば、金正日委員長の病状について、米政府は「当初の想像以上に悪い」との見方を強め、金委員長の失脚・死亡を前提とした対処計画の策定を始めた。北韓ではすでに、軍部と党上層部、金正日一族の3者が絡む集団指導体制構築への動きが活発化しているとも伝えた。
「もうダメだ」。金委員長にまつわるこの種の情報は朝総連でも、かなりの真実味をもって語られてきた。9月9日の北韓創建60周年を偉大な転換点として、1年前から徹底準備していながら、顔を見せなかった。金日成がソ連の軍艦で北韓に初上陸した時の同行者で、最後まで残った数少ない同志である朴成が10月末に死亡したのに、その葬儀にも出席していない。スポーツ観戦だ現地指導だと「写真」つきで報道したところで、こうした異常性を覆せないと…。
動揺する朝総連にとって、それに輪をかける要因もある。高齢の現議長が健康上の理由で執務できない状況であるにもかかわらず、北韓当局は、現在の実質トップである責任副議長を議長に正式任命するか否かを含め、人事を発令できないでいる。自らの組織の長ですら、自分たちでは選べない現実と、金委員長の「もうダメだ」との認識が相まって、不安感が募っているという。
北韓の今後の指導体制がどうなるか。朝総連もいっそうの内部葛藤を余儀なくされよう。どうなるにせよ、北韓の呪縛から少しでも自由になるよう願いたい。
(D)
(2008.12.10 民団新聞)