掲載日 : [2009-03-25] 照会数 : 5659
<女性コラム>嫁の遠慮 ほどほどに
シオモニ(夫の母親)が別居を提案したので、敷地内に私たちの新居を年内に建てることになった。しかし、この頃シオモニの様子が変だ。特に区画整理事務所の人が家に訪れた日には決まって機嫌が悪い。最近は自分でも「私、うつ病かも」と言いながら、何日も躁うつの状態を繰り返していた。私は、ただ見守ることしかできなかった。
先週末、私は「お父さん、お母さんが若い今は別居しても、いずれまた一緒に住みますよね」と何気なくシオモニに声をかけた。するとシオモニが寂しそうに「私たち老人ホームに行かなきゃいけないんじゃ…」と独り言のようにつぶやいた。
私は笑いながら「家族がいるのになぜ老人ホームに行くんですか?」と聞き返した。すると、この間ずっと暗かったシオモニの表情が一変して明るくなった。
私は、シオモニのうつ病の原因が、外国人の嫁に気をつかっていたためだということに、やっと気がついた。
「外国から嫁いできた嫁が、愚痴も言わなければ、余計なことも言わない、だからこそ何を思っているのか分からない。別居しようとは言ったものの、私たちの老後はどうなるのかな」
シオモニは、文化も価値観も違う外国人の嫁に、老後のことをどう相談して良いかを聞くに聞けず、不安で一杯だったようだ。私は、シオモニの気持ちを少しも知ろうとしなかった自分の無神経さを反省した。
これからは嫁として遠慮するより、もう少し家族として向き合って会話をしていくことにした。
鄭錦伊(埼玉・団体職員)
(2009.3.25 民団新聞)