掲載日 : [2009-04-15] 照会数 : 6459
<布帳馬車>津軽三味線とパンソリ
美少女!? 初めて顔を見たとき、一瞬そう思った。甘いマスクに柔和な雰囲気を漂わせていたからだ。ところが、三味線を弾き始めるや、力強い演奏に、男性と納得。
民謡歌手で三味線演奏家の梁川としひろさん(18)だ。同胞4世である。記者懇150回記念の集いにゲストとして招かれ、「津軽じょんがら節」をはじめ、「津軽よされ節」「新相馬節」「秋田おばこ」など、おなじみの名曲を披露した。
4オクターブは可能だという、伸びのある澄んだ高音。バチで叩きつけるように弦を弾く津軽三味線。なんとも魅力的な舞台だ。
彼によると、母方のハルモニ(祖母)がパンソリの名唱だった。幼少の頃からハルモニの鼻歌まじりのパンソリを耳にしていた。結局、それが人生の針路を決める伏線となったようだ。
小学生の時、野球部のコーチに誘われて初めて聴いた津軽三味線に感動。直ちに弟子入りを決意したというから、すごい。きっと、幼いながらも魂を揺さぶられたにちがいない。
「自分が韓国で生まれていたならば、パンソリ歌手になっていたかも知れない」と明かした。ルーツへの自然な発露がなんともうらやましい。
この4月から大学生。これまでジュニアの部では優勝を重ねてきた。当面の目標は、津軽三味線と民謡の全国大会「一般の部」で優勝することだ。日本の文化に精進する同胞の姿を見るにつけ、声援を送りたくなる。美青年よ、ガンバレ!(Q)
(2009.4.15 民団新聞)