掲載日 : [2009-06-17] 照会数 : 5477
<布帳馬車>「心の言葉」に出会って
人には心に残る格言やことわざが、ひとつや2つはあると思う。大きな問題に直面したとき、また自分を律するときにも、先人らの経験から生まれた知惠の言葉を参考にする人は多い。
私は仕事柄、多様なジャンルの方たちと会う。なかでも同胞の方たちに接して思うことは、皆さんがそれぞれに、心に響く言葉を持っているということだ。
「悩んでいたことは将来、自分の強みになる、だからそこから逃げ出さないで」「在日は豊かになれる素材を持っている存在」「なぜ、日本に在日がいるかという自分のルーツを知り、普通の人間として大地に両足をつけて立てばいい」
さまざまな経験や葛藤を経てきた同胞たちの言葉は、格言やことわざにも勝る説得力があり、思いやる気持ちにあふれている。私はそのときどき耳した一言ひと言を心に刻み、自らの成長の糧にしたいと思ってきた。
韓国に「行く言葉が美しければ、来る言葉も美しい」という素晴しいことわざがある。こちらが優しく接すれば、相手も優しくなるという意味だ。
一方的な独りよがりの思いだけでは、相手は心を閉ざしてしまう。ましてや温かく、重みのある言葉を聞く機会すら逃しかねない。
若い世代の同胞たちには「ウザイ」なんて言わずに、心を開いて祖父母や両親と語り合ってほしい。あなたが立ち止まったとき、一歩踏み出す勇気を与えてくれる言葉にきっと、出会えるはずだよ。(O)
(2009.6.17 民団新聞)