掲載日 : [2009-07-29] 照会数 : 5671
<女性コラム>故国の老親を想う時
先日、子どもたちを連れて夫の中学時代の家庭教師を見舞ってきた。彼女はとても聡明な人で、大手銀行を課長で退職し、先日、独身のまま70歳の誕生日を迎えた。今は糖尿病で倒れ、左半身に障害を持つ彼女は、駆け付けた私たちにお茶の一杯も出せない不自由な体を悔しがっていたが、若い頃の自分を語る時は目さえ輝いてみえた。
彼女が住んでいる介護専用マンションはお風呂付きの1Kで、全ての壁には手摺り棒が付いていた。電動式ベッドの枕元と風呂場には、管理人と24時間つながるインターホンが付けられ、さらにトイレの水を一日中、1度も流さなかったり、電気ポットのお湯が1回も使われなかった日は、管理人が様子を見に来てくれるそうだ。
プライベートな生活を送りながら、緊急の時は直ちに管理人が駆け付けるシステムになっている。また、週1回は、ホームヘルパーが訪問して体調も診てくれたり、掃除、洗濯、買い物の生活介助もしてくれる。
全く動けなくなったときは、有料老人ホームへの入所を予定しているという。帰り道、私は韓国の田舎で暮らしている老親のことを思い浮かべた。
韓国の老人介護事業は昨年法律が整備されたばかりで、日本のように身近なサービスになるまでは、まだまだ時間がかかりそうだ。
元気で2人仲良く長生きしてくれることを祈るばかりだが、今年の秋夕には、そろそろ弟や妹に老親の今後のことについて、具体的に相談してみるつもりだ。誰だって歳はとるもの。
鄭錦伊(埼玉・団体職員)
(2009.7.29 民団新聞)