掲載日 : [2009-09-02] 照会数 : 5285
<布帳馬車>「「秋夕」と同胞愛あふれる「決断」
「来年には(南北の)離散家族が、それぞれ肉親の家にまで行けるようにする」
第1回南北首脳会談と「6・15南北共同宣言」直後の2000年8月に平壌を訪問した韓国のマスコミ社長団との会見での北韓・金正日国防委員長の発言である。だが、この約束は9年後の今日も実行されていない。
離散家族の故郷訪問と墓参はもとより、書信の交換すら、いまだに実現していない。「北韓最高指導者の発言」は、その場限りのものが多く、南北協議の場になると、北側は議題として討議することすら拒んできたからだ。
金正日委員長の「大きな配慮」により、先週、北韓の金剛山地域で約2年ぶりに南北赤十字会談が再開されたという。韓国側は離散家族の面会を「秋夕」(10月3日)時期の1回だけでなく、年内にもう1回、さらに来年の旧正月にも実施することを提案した。しかし、北側は「秋夕」にあわせての面会にだけ応じた。今度も同じパターンを繰り返すのだろうか。
「南北離散家族と親戚の間の自由な訪問と自由な再会」は、37年前、1972年の「7・4南北共同声明」に基づき同年8月に開始された第1回南北赤十字会談で合意をみていたもの。当時、北側の最高指導者に、その気があったならば、とっくに実現され、南北間最大の人道問題は解決されていたはずだ。
再会を果たせずに亡くなっている家族が後を絶たない。残された時間は限られている。「これ以上、先送りしない」という最高指導者の同胞愛あふれる「決断」は、夢のまた夢か。(F)
(2009.9.2 民団新聞)