掲載日 : [2009-10-15] 照会数 : 5727
<布帳馬車>キノコ採りで締めた韓流談義
北東北のある県都に所要があり、駅前のホテルに泊まったところ、トレーニングジムの無料券があったので、久しぶりに身体を苛めてみようかと思い立った。トレーニングルームは広く、思いのほか器具がそろっていたが、休日の午前中とあってか70歳前後のご婦人方が5、6人、おしゃべりの合間あいまに身体を動かしていた。
「ペ・ヨンジュンもチェ・ジウも、韓国じゃあまり人気がないんだってね」「でもさ、円をごっそりかき集めて行くんだから、大変な貢献者よ」などと話し合っていたかと思うと、韓国の俳優の名を次々と7、8人もあげ、それぞれに論評を加え始めた。私が聞き取れたのはイ・ドンゴン、イ・ビョンホン、クォン・サンウまで。誰それは軍隊に入っても優秀で、屈強の兵士として表彰されたとか、そんな話しまで出てくる。ほとんど話についていけない。
まっ、いいか、久しぶりのウエイトトレーニングだ、いい汗をかいておこう、と改めて集中しようとしたら、「あんたまた浮気したでしょう!」「あんたこそ!」とかなり不穏な言葉に続いてけたたましい笑い声。彼女たちはそれぞれ、誰それ命の猛烈ファンであることを自認しながらも、時には宗旨替えをするらしく、それが格好の突っ込みネタになったというわけだ。
「あす、山さいぐか。キノコそろそろだべ」「んだ、んだ」(と聞こえた)。帰りの身支度をしながら、急に地元言葉になった彼女たちの、話題と言葉遣いの落差の大きさに妙に安心させられた。(D)
(2009.10.14 民団新聞)