掲載日 : [2009-10-28] 照会数 : 8273
マッコリ人気日本でも ほろ甘く女性とりこに
[ マッコリが並ぶ「てじまうる」のボトル棚。左下は島津常幸店長 ]
[ 「MACCOLI BAR」。円内は崔煥さん ]
ほのかな甘味と酸味が特徴のマッコリ。韓国では大衆の酒と呼ばれるほど、親しまれてきた伝統酒だ。昔は在日家庭でもよく造られた。近年、韓国をはじめ日本で若い女性たちを中心に、マッコリカクテルや果物を用いたオリジナルマッコリの人気が高まっている。日本では、韓国各地のマッコリを楽しめるマッコリバーもオープンしている。好みのマッコリを見つけるのも、楽しみの一つになっているようだ。
■□
50品、カクテル100種
専門バー「韓食世界化に一役」
マッコリ50種類、マッコリカクテルは100種類にのぼる韓国創作料理・マッコリバーの「てじまうる」新宿店(東京・新宿区)。06年4月の開店当時のマッコリは7種類だった。
「昔は『マッコリってなんですか』、という質問が多かった。でもそういう質問はなくなったし、新鮮なジャンルとして受け入れられている」と店長の島津常幸さん(31)は話す。
女性客に人気のマッコリカクテルは、開店当時から提供してきた。「カクテルの種類を増やしていくとき、ベースになるマッコリは一つと決めていましたが、これだけ多くの種類があるなら、いろいろ組み合わせて、美味しいものを作っていきたいと考えました」
お勧めは、果肉とカルピスを加えた「ストロベリーカクテル」。栗の甘みと香ばしさのある、あわがらマッコリをベースに、バナナリキュールと牛乳をミックスした「ティンカーベル」だ。
現在、取り扱っているマッコリは生系、フルーツ系、スタンダード系、薬効系の4タイプに区分される。例えばフルーツ系は甘みがあり、薬効系はくせが強くなる。米やもち米、麦、小麦粉などを原料に用いるので、ほのかに米の深みある味や、小麦の香りがするものなど、銘柄ごとの特徴を知るのも楽しみの一つだ。
現在、韓国政府が推進している韓食の世界化について島津さんは「知らないものを知るということは、すごいことだし楽しい。これまでマッコリの説明をしてきたことが、少しでも、日本で広がることにつながっていったと思えれば嬉しい。真心を込めて伝えていくことが大事」と話す。 同店では、マッコリに合う平田牧場のブランドの豚肉を使用している。「料理の相性に合わせてマッコリを選びます。食べる空間をどうプロデュースし、どういう形でお客さまに提供して楽しんでいただけるかが一番大事」。分からない方は、質問してほしいと話す。
東京都新宿区西新宿7‐10‐10 西村ビル地下1階(℡03・5348・5535)。
営業時間 月〜土曜日17〜24時、日祝日17〜23時。ランチ11時半〜14時半(月〜金曜日)。年中無休。カウンター10席、テーブル16席。
■□
果物と抜群の相性
アイスクリームとも絶妙に
自家製のマッコリアイスクリームを提供している「MACCOLI BAR」(東京・新宿区)。アイスクリームの甘さと、マッコリのほのかな酸味が合わさり、絶妙な味を出している。
メニューに紹介しているマッコリだけでも30種類以上。現在、新大久保界隈に3、4店のマッコリバーがあるという激戦区で08年7月、最初に開店した。
同店オリジナルマッコリは、果物をミキサーにかけて作る生フルーツマッコリ。「お勧めはキウイマッコリ、パイナップルマッコリなどです」と話す海外事務部の崔〓煥さん(30)。
崔さんは来日4年半。日本に来てからマッコリの多さに驚いたという。同店をオープンしたのは、約1年前、テレビ番組で、韓国のマッコリ専門店が紹介されていたのがきっかけになった。
「マッコリには乳酸菌も含まれ身体にもいい。ぜひ、日本の方に紹介したいと思いました」
客層は圧倒的に女性が多い。マッコリカクテルや、梨の甘みが味わえる梨マッコリは評判がいい。今後は店舗を増やし、「多くの方にマッコリの良さを楽しんでほしい」という。
東京都新宿区大久保百人町1ー15ー24 (℡03・6380・3487)。
営業時間 19〜翌朝5時。年中無休。カウンター9席、テーブル4席。
■□
伝統蔵元が作る純日本産
韓国産マッコリが隆盛ななかで、頑張っているのが純日本産のマッコリだ。300年の歴史を誇る福島・白河市の蔵元「有賀醸造」の「虎マッコリ」。すでに販売されている「マッコルリの華」に続くもので、東京の焼き肉店から要請を受け、7年前から添加物や甘味料を使用しない、生搾りの製法にこだわり生産する。
代表の有賀一裕さん(56)は「従来の日本酒の需要が低迷しています。マッコリブームにのってということはではないが、商品開発を行ってきました。ここにたどり着くまでは、試行錯誤を繰り返しました。今、主力製品になっています」と話す。「日本酒の場合、低アルコールだと日本酒のバランスが崩れて、甘さが際だちます。マッコリはアルコール度数も低くて甘すぎず、自然の炭酸なので飲みやすい」。有賀さんは、虎マッコリを日本酒のなかのジャンルの一つとして、日本人向けに開発した商品と位置づける。
「マッコリは日本人にあっています。アルコールがきつくなく、喉ごしがいい。日本の食生活が変わるなかで、若い女性に人気があります」
有賀さんは、多様なマッコリが市場に登場することで、品質向上につながればと考える。「新商品のプランも考えています」と、マッコリ好きだと自負する有賀さんが教えてくれた。問い合わせは有賀醸造(℡0248・34・2323)。
■□
美容や健康にも効果
韓国の伝統酒は基本的に清酒、マッコリ、焼酒(焼酎)の3つに分かれる。マッコリは伝統酒として最も歴史が長く、大衆に親しまれてきた。高麗時代には梨の花が咲く時期に仕込むため、梨花酒とも呼ばれていた。梨花酒以外にも濁酒、白酒、家醸酒、浮蟻酒などの名がある。
韓国で農作業の昼食時にマッコリを飲むのは、長い歴史と伝統が育んだもの。消耗した水分の補給と少量のアルコール分は、肉体労働の疲れを癒す効果もあり、庶民の生活に欠かせない存在だった。
「栄養面でもマッコリを飲むことは、ある意味で健康的なことです。マッコリを出さない農家は失格とされ、各家庭では農繁期に備えてマッコリを醸しました。これがマッコリが農酒と呼ばれる由縁」と料理研究家の姜連淑さんは話す。
マッコリにはビタミンやミネラル、乳酸菌、タンパク質なども含まれるため、ほかの酒類と比較しても栄養バランスがよく、美容や健康にも良いと言われている。
(2009.10.28 民団新聞)