掲載日 : [2009-11-05] 照会数 : 5780
<布帳馬車>韓日間の摩擦解消には爆弾酒も
「金正日は韓国に来たくとも、爆弾酒と弾丸タクシーが怖くて来られない」‐こんなジョークがあるほど爆弾酒は勇名を轟かせている。ジョッキが弾皮、ビールが火薬、ウィスキーのショットグラスを雷管に見たてた命名で、その破壊力は名に恥じない。米国では、身体が一気に火照ることからボイラーメーカー、二日酔いの頭痛が長引くことからヘッドハマーとも呼ばれる。
高級ブランデーを飲むことがステータスの証だったような時代、手のひらで温めるようにしてちびちび飲んでいる日本人を尻目に、カツンとグラスを合わせては何杯も一気飲みする韓国の駐在員たちに度肝を抜かれたものだ。韓国には酒に強いことを男の美学としてきたようなところがあった。
ところが近年、飲酒文化が急速に柔軟・多様化し、水割りも違和感がなくなり、薬酒系の伝統銘酒が次々復活しているかと思えば、ワインに続いて日本酒の人気がうなぎのぼりだ。日本でほとんど出回っていない希少地酒にまで関心が向いている。一方、韓国焼酎ブームが一段落した日本では、女性を中心にマッコリファンが急増している。
こうした伝統酒の相互乗り入れは、双方の飲食生活をより豊かにし、お互いの民俗・文化への親近感を育む。ぶつかりやすい両国民の気質を、滑らかにし合う効果もあろう。しかし、韓日間に摩擦が起きたときにはあえて、席を同じくして爆弾酒で気勢を上げ、大いにやり合うのも悪くない。マグマがあれば爆発させるのだ。不発弾にして溜め込むよりよほどいい。(J)
(2009.11.5 民団新聞)