掲載日 : [2003-06-04] 照会数 : 4169
<コラム・布帳馬車>歴史への不誠実さ
「『創氏改名』はもともと当時の朝鮮人から名前が欲しいと言い出したこと」とは全くもって言いがかりも甚だしい。自由民主党の政調会長という要職にある麻生太郎議員の発言に驚いた同胞や良識ある日本の市民は多いはずだ。
同胞側から言い出したことの論拠として、韓国で論議した時に若者は否定したものの高齢者が「その通り」と語ったとしている。
個人を明らかにせず、ましてどのような経歴を持った人かも曖昧な人物を持ち出して、自身の主張を正当化しようとする論が、そもそも説得力を持たない。
創氏改名は、朝鮮を植民地化した日本が、植民地下にある同胞を統治するために、民族的アイデンティティの象徴ともいえる言語とともに名前を奪うために行われた皇民化政策の一環であることは歴史の上からも明らかである。
日本の巧妙な皇民化政策は36年間にもわたって続けられた。植民地統治下で生まれ、数十年におよぶ皇民教育を受けた同胞らの一部には、悲しいかな日本の支配者が望んだごとく、日本を美化する者も存在する。
だからといって、そのような極めてわずかな人物の発言をとらえて、当の本人たちが望んだことと論を張るのは歴史に不誠実であると言わざるを得ない。こんな希薄な論拠をあげて「歴史認識の違い」と自らの発言を正当化しようとする誤ったロジックにいい加減気が付いてもらいたい。(L)
(2003.6.4 民団新聞)